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【雑学】確率漸化式とはなにか

2026.07.15

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こんにちは。家庭教師Camp事務局スタッフです。

漸化式とは、簡単に言えば「前の状態を使って、次の状態を決める式」のことです。数学Bの範囲の数列の内容として取り上げられています。たとえば、毎日100円ずつ貯金するなら、aₙ₊₁ = aₙ + 100 と表せます。今日の貯金額が aₙ で、明日の貯金額が aₙ₊₁ です。つまり、「今の状態から次の状態を作るルール」が漸化式です。

では、「確率」漸化式とは何でしょうか。これは、「今の状態から、次にどうなるかを確率で考える式」です。現実社会では、未来が必ず決まっているわけではありません。お客さんが来月もサービスを使うかもしれない。感染症が広がるかもしれない。景気が良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。このように、未来には「不確実さ」があります。そこで使われるのが、確率漸化式です。

 

例1 感染症の流行

ある地域で、今日感染している人の数を Iₙ とします。そして、1人の感染者が次の日に平均して r 人に感染させるとします。ただし、感染者の一部は回復します。1日に回復する割合を q とします。

すると、かなり単純化したモデルでは、Iₙ₊₁ = Iₙ + rIₙ − qIₙ と表せます。整理すると、Iₙ₊₁ = (1 + r − q)Iₙ です。

この式の意味は、明日の感染者数は、今日の感染者数に新しく感染した人を足して、回復した人を引いたものになるということです。たとえば、感染者が100人いて、1日に増える割合が20%、1日に回復する割合が10%だとします。この場合、Iₙ₊₁ = 100 + 0.2 × 100 − 0.1 × 100 なので、Iₙ₊₁ = 110 となります。つまり、次の日の感染者は110人と予測できます。もちろん、実際の感染症モデルはもっと複雑です。年齢、接触回数、ワクチン、地域差、行動制限なども関係します。でも基本は、今の感染者数から、次の感染者数を確率的に考えるという発想です。感染症対策で「このままだと何週間後に病床が足りなくなるか」を考えるときにも、こうしたモデルの考え方が使われます。
Wordから挿入した画像

 

例2 人口の予測

今年の人口を Pₙ とします。1年間で生まれる人の割合を b、亡くなる人の割合を d とします。すると、来年の人口 Pₙ₊₁ は、Pₙ₊₁ = Pₙ + bPₙ − dPₙ と表せます。整理すると、Pₙ₊₁ = (1 + b − d)Pₙ です。

たとえば、人口が100万人の町があるとします。出生率が1%、死亡率が1.5%なら、Pₙ₊₁ = (1 + 0.01 − 0.015)Pₙ となります。つまり、Pₙ₊₁ = 0.995Pₙ です。人口は1年で0.5%減ることになります。このような考え方を続けると、1年後、5年後、10年後、30年後の人口を予測できます。人口予測は、社会にとってかなり重要です。なぜなら、人口が変わると、学校の数、病院の数、年金制度、介護施設、働く人の数、税金の収入などに影響するからです。子どもの数が減ると、学校の統廃合が必要になるかもしれません。高齢者が増えると、介護や医療の負担が大きくなるかもしれません。
Wordから挿入した画像2

例3 サブスクサービス

今月の利用者数を Uₙ とします。今月の利用者が来月も続ける確率を p とします。新しく入ってくる利用者数を N とします。

すると、来月の利用者数 Uₙ₊₁ は、Uₙ₊₁ = pUₙ + N と表せます。

今月の利用者が10,000人、来月も続ける確率が90%、新規利用者が1,500人なら、Uₙ₊₁ = 0.9 × 10000 + 1500 なので、Uₙ₊₁ = 10500 となります。来月の利用者は10,500人と予測できます。ここで大事なのは、p の値です。p が90%なら成長するかもしれません。でも p が70%なら、かなり多くの人がやめていることになります。企業はこのようなモデルを使って、どれくらい広告を出すべきか、どれくらい解約されているか、何人新規客を集めないといけないか、サービスは成長しているのかを考えます。つまり、確率漸化式はビジネスの世界では、お客さんが残るか、離れるかを予測する道具として使われます。
Wordから挿入した画像3

例4 支持

ある商品や考え方を支持している人の割合を Aₙ とします。支持している人が、周りの人に影響を与える。まだ支持していない人の一部が、次の時点で支持するようになる。このとき、単純なモデルとして、Aₙ₊₁ = Aₙ + kAₙ(1 − Aₙ) と表せます。ここで k は、流行の広がりやすさを表す数です。この式のポイントは、Aₙ(1 − Aₙ) の部分です。Aₙ は、すでに支持している人の割合です。1 − Aₙ は、まだ支持していない人の割合です。つまり、広める人と、これから影響を受ける人の両方が必要だということです。支持者が少なすぎると、広める人が少ない。支持者が多すぎると、もう新しく影響を受ける人が少ない。だから流行は、最初はゆっくり広がり、途中で一気に伸び、最後は伸びがゆるやかになります。
Wordから挿入した画像4

SNSの流行、口コミ、商品の普及、政治的な意見の広がりなども、このようなモデルで考えられることがあります。社会は、なんとなく「空気」で動いているように見えて実はそうでなないのですね。

 

ここまで見ると、確率漸化式は色々な場面で使われていることがわかります。感染症、人口、ビジネス、天気、世論、流行。一見バラバラに見えますが、共通点があります。それは、今の状態が、次の状態に影響するということです。つまり、社会は「その場その場」で動いているのではなく、前の状態の積み重ねによって、次の状態が作られていると考えられます。その流れを数式で表したものが、確率漸化式なのです。
Wordから挿入した画像5
ただし、確率漸化式は万能ではありません。なぜなら、現実社会はとても複雑だからです。たとえば感染症なら、人々の行動が変わります。人口なら、政策や経済状況によって出生率が変わります。ビジネスなら、ライバル企業が新商品を出すかもしれません。世論なら、大きな事件やニュースで一気に流れが変わることがあります。つまり、数式モデルは未来を完全に当てるものではありません。むしろ、この条件が続いたら、未来はどうなりそうかを考えるための道具です。

もちろん、未来を完全に当てることはできません。でも、何も考えずに「なんとなく増えそう」「なんとなく減りそう」と言うよりは、ずっと冷静に未来を考えることができます。確率漸化式は、未来を予言する魔法ではありません。けれど、不確実な未来を、少しでも論理的に見通すための道具です。

 

本日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

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