家庭教師ブログ
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2024.07.24
こんにちは。家庭教師Camp事務局です。
本日は、2024年度 都立武蔵高附属中 適性検査問題分析についてご紹介いたします。
武蔵高附属中志望の方は必見です!
武蔵高附属中の適性検査では、
「適性検査Ⅰ」・「適性検査Ⅱ」・「適性検査Ⅲ」の3種類があります。
それでは各問題を詳しくみていきましょう。
文章1:東直子「生きていくための呪文」による
文章2:藤田 真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』
〈出題形式〉
4000字程度の文章が1題の形式で、読解問題2間、作文問題1間の例年と変わらないスタイルですが、前年度に比べて文章量は2倍近く増えました。また、ここ2年姿を消していた作文の条件指定が再登場しました。読解問題の字数は合計最大105字、作文の最大字数が460字となり、昨年よりは書く分量がやや減少した形です。テーマは「インターネット上で個人の好みに合った情報が自動的に選択される仕組み」についての説明と生命の子見不可能な存在であることを対比させて「人間は予見不可能な創造的 進化を遂げる」ものであることを述べています。SNSなどで同じ動画を見ても、それぞれの感じ方は個性によって異なるという筆者の考え方がとらえることができれば難しい内容ではありません。
(問題1)問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
短歌・俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりすることに、どのような効果があるのかを答える問題です。空欄を補充する形で答えるので「という効果」につながるような言葉を使っていきます。前年度・前々年度でも今回の問題のように字数が指定されていないものが出ています。また今回は、「文章1・文章2で挙げられている例を一つずつ探し、解答らんに合うように答えなさい」という指示があります。ポイントは各文章からそれぞれ一つずつ 例を探すということです。例ですので、抽象化されたものではなく具体例に注目します。そして「探す」ということなので、字数の指定などはないものの、ほとんど抜き出す形式に近いと言えます。まずは文章1・文章2のそれぞれから「短歌や俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりする」という動作に該当する例を探していき、その動作によってもたらされる効果・影響が書かれている部分を、「という効果」につながる形に直して、書いていきます。抽象・具体を区別する必要があり、普段の演習時から、これらをしっかり区別して読解をおこなっているかどうかが、解く上でのポイントになっていました。
(問題2)文章2の傍線部に関連する二文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章2の傍線部について問われ、文章1から連続する二文を探して、最初と最後の4文字を答える問題です。これまでの共同作成問題で何度も出されてきた文章横断型の問題ではありますが、今までは傍線部がある文章から大まかな情報を整地して、もう一方の文章から探す答えの方向性を絞るという作業が求められました。しかし今回は、文章2から得られる傍線部に関する情報はほとんどなく、「文章1の筆者は、短歌を読んで どのような情景を想像しているでしょうか」という問いから考えていけばよい問題でした。文章1から短歌を読み、その内容から何を想像しているかということに注意して読んでいきます。冒頭の岡本かの子・与謝野晶子の短歌の後に、「桜の咲くころ~と浮かぶ。」という部分がありますが、連続する二文を情景として抜き出すことを考えると、その後の文が答えとして考えることは難しいです。次に大西民子の短歌の後にも、想像している情景として読み取れる部分があり、この「青い空」に関する記述を抜き出す必要がありました。文章2を踏まえるという過程があまり求められず、文章1から情報を探す際にも、ややわかりにくいものになっているので、この問題に時間をかけてしまうことがないように気を付けなければいけない問題でした。
(問題3)二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかの考えを述べる問題です。また文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方のいずれかにふれることが条件になっています。したがって、まずは短歌・俳句に対する考えを読み取ったうえで、自分にとって書きやすいほうを選択する必要があります。文章1は短歌や俳句を何度も唱えることで、自分の気持ちを前向きに変えることができるという内容であり、文章2は表面的な言葉だけを見るのではなく、日々生活を送っている人々の気持ちを想像して勉強していくうちに、すばらしい俳句が生まれるという内容です。言葉によって気持ちを前向きにできるという内容の文章1の方が、学校生活で仲間と関わるうえで使っていく言葉に関する考えは書きやすいと思われます。選んだ文章の内容にふれつつ、その内容に寄せた自分の考えとその根拠などを、学校生活で想定される例とともに書いていけばよいでしょう。近年の作文問題の字数は、400字以上440字以内の傾向が続いており、各段落に各内容についても詳細なものは指定されていません。つまり指定字数の中で、ある程度自分で構成を考えた上で書いていく力が求められているのだと考えられます。また今後の学校生活を意識する内容も続いているので、中学校生活での例を挙げられるように、対策をしていく必要があるでしょう。
1⃣ デジタル数字を題材にした問題(共同作成問題)
1⃣は前年同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものとなっています。条件に合わせて考える力が必要でした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度となっています。
〔問題1〕条件に合う作業の分担方法を考える問題
マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、45分未満ですべての作業を終わらせます。作業する人によってかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。太郎さんはマグネットシート1枚当たり「かく」作業に10分、「切る」作業に5分かかり、花子さんは「かく」作業も「切る」作業もマグネットシート1枚当たり7分かかります。問題文の条件より、最初の作業は同時に始めないといけないため、最初の作業は二人とも「かく」作業になります。その後は、「かく」作業が太郎さんより速い花子さんはずっと「かく」作業を、「切る」作業が速い太郎さんはずっと「切る」作業を、という風に分担すれば45分未満で作業を終えることができます。ルールをきちんと把握していれば、記述する内容も単純なので、比較的得点しやすい問題でした。
〔問題2〕最短時間で操作を完了させる方法を考える問題
ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作(2秒)」「マグネットを取る操作(2秒)」「数字の書かれたポードを180度回す換作(3秒)」「2枚のボードを入れかえる操作(3秒)」を組み合わせて考えます。本間では456から987にする場合が問われています。回転と入れかえはそれぞれる秒かかってしまうものの、入れかえを行わずに456を987にすることを考えると、どうしても時間がかかってしまいます。したがって、できるだけ効率の良い手順で入れかえを行う必要があります。会議文で6を回転させると9になることが説明されているので、6を回転させて9にしてから4と入れかえ、4を7にすることを考えます。真ん中の5はマグネットを2本加えれば8にできます。しかしこれが「最短」の方法であることを確かめようと思うと時間がかかりますので、確実に得点するという観点で言うとやや離しい問題だったように思われます。
2⃣ 鎌倉時代から明治時代にかけてのお金と銀行について考える問題
〔問題1〕は鎌倉時代における近畿地方の土地の価値の装し方について、表を用いて答える問題でした。〔問題2〕は選択した組み合わせの小判について、小判とその価値の変化を答える問題でした。〔問題3〕は1893年に急数に銀行の設立数が増えた理由について、会話文をもとに答える問題でした。近年、武蔵中ではSDGsに関する問題が多く出題されていましたが、今年は歴史がテーマの出囲でした。また、近年験出だった課題解決型の問題もなく、いたって標準的な資料や会話文の読み取りの問題が中心となりました。会話文の量も多くなく、資料もわかりやすいものだったので、全体的に例年より平易でした。2⃣を取りきることが適性検査日の得点のカギとなったといえるでしょう。
〔問題1〕表をもとに変化について読み取る問題
選んだ地域の鎌倉時代における土地の価値の表し方の変化について、時期、地域、数値に注目しながら答える問題でした。変化について問われているときは、それぞれの値が増加・減少または横ばいのいずれかになることを意識することが重要です。今回はどの地域を選んでも変化を読み取ることができますが、特に変化の大きい地域を選ぶと書きやすいでしょう。表と会話文から、当時の近畿地方では米や布の量または銀で土地の価値を表していたことが読み取れます。山城を選んだ場合は、米や布などを使う件数が年々減少し、銭を使う件数が増加していること、大和あるいはその他近畿地方を選んだ場合は、米や布、そして銭を使う件数の両方が増加していることについて書く必要があります。
〔問題2〕グラフをもとに計算し、その結果を考察し変化を答える問題
選んだ小判の組み合わせについて、資料からわかることと資料から求めた小判の金の含有量をもとに、小判とその価値の変化について答える問題でした。慶長小判と元禄小判の組み合わせは小判の重さが、安政小判と万延小判の組み合わせは金の含有量の割合が同じだったため、金の含有量を水める計算自体は難しくありません。しかし、単なる数値の変化だけでなく、それを通して「小判の価値がどのように移り変わったのか」まで書く必要があるため、問われていることを意識しながら書くことが重要でした。会話文から小判は作られた時期により大きさや重さが異なること、金の含有量が決ると貨としての価値が下がることが読み取れます。するといずれの組み合わせも金の合有量が減り、小判の価値が下がっているので、あとは小判の大きさに触れながらそのことを述べればよいでしょう。
〔問題3〕会話文をもとに理由を説明する問題
1893年に銀行の設立数が急増した理由について、会話文をもとに答える問題でした。その際、直接的な理由だけでなく、銀行設立に至った背景にも触れる必要がありました。会話文から国立銀行ができたことで大都市だけでなく、地方でも会社や工場を作ろうと考える人が増えたことがわかります。そしてその後、銀行へお金の借り入れ希望が増えたことで、国立銀行とは基準の異なった普通銀行が設立され、さらに貨幣の枚数と会社へ貸し出すお金の量が増えました。特に1885年~1887年の3年間で会社や工場が増え、さらに 1890年の産業革命以後、綿糸に関わる工場も増加し、以降工場の建設や機械の導入に多くのお金を必要とするようになりました。これに対応するため 1893年には銀行条例が出され、銀行が作りやすくなった結果、銀行が急増したということです。これらの情報は会話文からすべて読み取れますので、あとは問いに正対するようにわかりやすくまとめる力が求められました。
〈出題形式〉
前年度の入試では大問2の一部が算数化しましたが、今年度は元に戻り、 1⃣で算数、2⃣で理科の分野から出題されました。また、例年の傾向と異なり、算数では立体図形の出題が無く、理科では実験を組み立てる問題の出題がありませんでした。
【大問1】図形や規則性に関する問題
〔問題1〕平面図形を転がしたときの頂点の軌跡を答える問題
直線状で円や正多角形を転がしたときの頂点の軌跡を考える問題は私立中では頻出です。しかし今回は円や正多角形のようなシンプルな図形ではなく、歪な五角形を転がします。仮にコンパスがあったとしても正答するのはかなり困難であり、ほとんどの受検生は回避するか、とりあえず埋めてみただけで次に進んでいました。あまり差のつかない一問であったと予想されます。
〔問題2〕規則性について考える問題
2種類の記号の並びが8個続いている状態から、128個目の記号を予想する問題です。並んでいる8個の記号は0と1で表すと「01100001」となっており、それぞれの記号が1個、2個、4個、…と続いていることがわかります。次に並ぶ記号の個数を7個(階差数列)とするか8個(等比数列)とするかで128個目の記号が変わります。128が2の7乗であることから、等比数列とした方が答えやすくなります。合格のためには必ず得点したい一問です。
〔問題3〕 円を複数個組み合わせた図形の作図に関する問題
半径30cmの円の内側に、半径12cmの円をぴったり5つ並べた図形を作ることができないことを説明する問題です。ぴったり入っている5つの円の半径を12cmとしたとき、その中心同士を結んだ五角形の周の長さが、五角形の外側に接する円の円周よりも長くなることを示すことで矛盾を導きます。 円周率が3以上であることを説明する際に、円の内側に接する正六角形を考えるのと同様の思考の仕方です。小石川中でも「できないことの説明」がよく出題されており、仮に武蔵中志望だとしても、他の都立中の勉強は必須であることが再確認できた問題でした。合否を大きく分ける一問であると予想されます。
【大問2】液体の蒸発や冷凍に関する問題
〔間題1〕液体の蒸発に関する問題
濃縮還元ジュースとストレートジュースの製造方法のメリットをそれぞれ答える問題です。濃縮還元ジュースは輸送コスト、ストレートジュースは製造方法の容易さにそれぞれふれればよいことになります。必ず正答しておきたい一問です。
〔問題2〕液体の蒸発に関する問題
水と砂糖水の蒸発速度の違いについて考える問題です。与えられた資料を分析するのは容易ですが、答える際に資料の情報をどこまで記述すべきか迷う受検生は多かったのではないでしょうか。理解は容易でも答えにくい一問でした。
〔問題3〕液体の冷凍に関する問題
砂糖水をビーカーで凍らせたとき、真ん中付近の糖度が高くなり、外側の糖度が低くなる理由をお えます。(問題2)と同様、与えられた資料の分析は容易です。答え方も(問題2)よりシンプルな解答が子想されるため、正解しておきたい一問です。
いかがでしたでしょうか。
来年度受験の方、志望校として検討していらっしゃる方いずれもご活用いただけましたら幸いです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
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