家庭教師ブログ
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2024.06.15
こんにちは。家庭教師Campライターの杉浦です。
「あじさいの開花前線」をご存知ですか? さくらと同様に、気象庁は全国各地のあじさい開花日を発表しています。今年の東京では、6月3日が開花日でした。あじさい以外にも、うめやかえでなど「生物季節観測の情報」を気象庁が毎年発表しています。気になる方は、ぜひ調べてみましょう!
ところで、あじさいの花は何色でしょうか? よく観察すると、赤っぽいピンクの花と、青っぽい紫色の花があることが多いです。実はこの色の違いは、他の花とは大きく異なる仕組みで決まっているのです。
色について解説する前に、あじさいの花そのものについて、ちょこっと解説します。
普段わたしたちが花びらだと思って見ている部分は、実は花びらではありません。これは「がく」と呼ばれるもので、葉っぱが変化したものです。本当の花はとても小さく、多くの場合は目立つ「がく」より内側に隠れていたり、「がく」に囲まれたりしています。本当の花は真花とよばれ、「がく」は装飾花と呼ばれています。
私たちが花だと思っていた部分が「がく」(装飾花)だったのですね。
あじさいは、一般的には土の酸度によって色が変わると言われています。(※品種改良により、これにあてはまらないあじさいもあります。)
酸度とは、土の中にどれだけ酸性の物質があるかです。同じような考え方にpHがあります。酸性-アルカリ性(塩基性)の尺度のことです。中学や高校化学で学習する範囲ですね。植物は土から水を吸収するため、土の特徴によって水の酸度やpHが変化し、植物はその影響を受けます。
実はあじさいの色は、土中のアルミニウムイオン(Al³⁺)を吸収することにより、赤色から青色に変化します。あじさいの紫色はアントシアニン色素によるものです。ブルーベリーなどで有名ですね。アントシアニン成分(デルフィニジン-3グルコシド)と助色素(ネオクロロゲン酸)が、アルミニウムイオンにより結合することにより(錯体)、青色になります。
アルミニウムは土にたくさん含まれている物質です。通常は水に溶けだしませんが、酸性になると溶けてきて水溶性アルミニウムとなります。また土壌コロイド(土の粒のかたまり)にくっつくと交換性アルミニウムとなり、じわじわと溶け出してきます。
そして日本の土壌は火山性の土壌が多く、酸性を示す傾向があります。そのため、よく見かけるあじさいは青紫色が多くなっています。土が酸性だとアルミニウムイオンが水に溶けだし、これがあじさいを青くするということです。
華やかなあじさいですが、実は日本の固有種です。ガクアジサイと呼ばれる固有種が品種改良され、ホンアジサイと呼ばれる園芸品種になりました。また欧米でも人気があり、ヨーロッパでさらに品種改良が進んだものをハイドランジアと呼ばれ、日本では西洋アジサイとも呼ばれます。
あじさいの葉には、毒があると言われています。青酸配糖体を含まれるため、食べると胃内の消化等により青酸配糖体と酵素が反応し、遊離した青酸(HCN)によっておう吐、失神、昏睡等の中毒症状を起こすとされています。実際に健康被害も報告されていますので、間違っても食べないようにしましょう。
「紫陽花」と書いて「あじさい」と読みます。これは熟字訓(じゅくじくん)とよばれる読み方です。
熟字訓とは漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方のことです。そのため「紫」単体で「あ」と読むことはありません。
あじさいの色は、現在でも様々な品種改良が研究されています。また、今回解説した色の仕組みに関しては最近解明されたことも多く、まだまだ研究が進んでいます。見たことのないあじさいがあれば、どんな品種なのかぜひ調べてみてください!
今回の記事では、pHやイオン、錯体のお話がありました。中学生・高校生の皆さんは覚えていましたか?理科や化学で学習したことは、意外と身近なところで活躍しています。受験勉強としてだけでなく、身近な話題と結び付けて学習を進めましょう!
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