家庭教師ブログ
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2023.06.01
こんにちは。家庭教師Campライターの瀧本です。家庭教師Campのブログをご覧いただき、ありがとうございます!
ところで、いきなりですが、「先生(教師)ってナニモノ?」 と思うことはありませんか?
考えてみたら不思議ですよね。端的に言えば「勉強を教えてくれる人」ではあるのですが、ただ知識をわかりやすく伝えるだけではなく、自分より先の人生を歩んでいる年長者、人格者として仰ぎ見ることもありますし、優しい先生、厳しい先生、おっちょこちょいな先生、時には「なんなんだこの変な人は……」とそのエキセントリックさ、カリスマ性にのけぞってしまうようなこともある、先生。みなさんの周りにいる先生は、どんな先生ですか?
さて、こちらのブログでは、古今東西の小説や映画などの作品から、魅力あふれる教師たちを取り上げて、いろいろ考察していきたいと思います。勉強の合間にでも、気軽に読んでくださるとうれしいです。では参りましょう!
「教師小説」というジャンルがあるとすれば、間違いなくこの作品が挙げられるでしょう。あまりに人口に膾炙しすぎてあらすじを言うのも野暮に思えますが(言いますね)、江戸っ子気質で曲がったことが大嫌い、血気盛んな青年である主人公が、「四国」(愛媛県松山)の旧制中学に赴任してあれこれ奮闘する姿を描く青春物語、とひとまずはまとめられます。
さまざまな人間に出会っては衝突し、さまざまな理不尽さに怒り、ちゃっかり恋もしつつ、「坊っちゃん」ならではのドタバタな勧善懲悪ストーリーが繰り広げられます。明治の文豪・夏目漱石がこの小説『坊っちゃん』を書き上げたのは39歳。こちらもよく言われていることではありますが、小説家になる前、愛媛や熊本で得た漱石自身の教師体験をもとに書かれています。
「親譲(おやゆずり)の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。」
この有名な冒頭をパッと読んでわかることは、あ、主人公本人が語っているんだな、ということですよね。ふつう、小説文では「〇〇は△△をした」というように主語が明示されますが、この冒頭にはそれがない。日本語では自分のことを話す際、主語を抜くことがあります。
この作品では、これから途中で主人公自身を呼ぶ「おれ」という一人称が出てくるわけですが、物語を語る主体である「私」という立場から見た、いわゆる「一人称視点」で物語を進めているので、読者はこの物語を「坊っちゃん」の目線で、「坊っちゃん」になりきるようなつもりで読んでいくことになります。
そこで、いったん読んでいる本から顔を上げてみて、教師としての坊っちゃんをわれわれ読者が客観的に評価するとなると、この人なにやってんの……という感じになってしまいます。
とにかく自分の情動だけで動いている人間ですので、上司であっても気に入らなければ後先考えず意見をしたり、生徒と取っ組み合いのケンカをして(現代ならばこれだけで社会的にアウトになってしまうのですが)警察沙汰になったりと、ある意味「こんな教師はいやだ」みたいなコントネタに思えるわけです。それでも、この人物の熱さは伝わってくる。
本文は暑苦しいくらいの自分語りなので、それだけで毛嫌いしてしまいそうになりますし、そもそも文体も古臭いし、何言っているかよくわからないこともあるけれど、この坊っちゃんという主人公の俗っぽい実直さと、周りの人間に対するユーモアにあふれた悪口とが異様にスカッとする要因となって、結局最後まで読めてしまいます。
ここで教師をスパッとやめてしまう展開になるのは、学園ドラマに慣れてしまったこちらの身としては本当にやめてしまうんだなあと残念に思ってしまうのですが、物語のラストでは「娑婆へ出たような気がした」ともあり、教師生活がまるで囚われの身であったような感想も漏らします。このあたりはへそ曲がりの主人公ならではのセリフではありますが、理想の教師というよりは、理想の人間像を描いた作品ではありますよね。
というわけで、いきなりブログの初回にして、「こんな教師はいやだ」と趣旨の正反対な内容をお伝えしましたが、今後は「生徒目線」で、「理想の教師」・「理想の先生」ってなんだろう? という内容をご紹介していきたいと思います。お楽しみに♪
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