中学・高校・大学
過去問分析

Camp+では、各中学・高校・大学の過去問について、傾向と分析を詳細に解説しています。都立中・都立高を中心に最新の過去問を大問ごとに分類し、傾向が一目で分かります。


東京都立両国高等学校附属中学校 2024年度NEW!

〔適性検査Ⅰ〕共同作成問題

文章1:東直子「生きていくための呪文」による
文章2:藤田 真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』
〈出題形式〉
4000字程度の文章が1題の形式で、読解問題2間、作文問題1間の例年と変わらないスタイルですが、前年度に比べて文章量は2倍近く増えました。また、ここ2年姿を消していた作文の条件指定が再登場しました。読解問題の字数は合計最大105字、作文の最大字数が460字となり、昨年よりは書く分量がやや減少した形です。テーマは「インターネット上で個人の好みに合った情報が自動的に選択される仕組み」についての説明と生命の子見不可能な存在であることを対比させて「人間は予見不可能な創造的 進化を遂げる」ものであることを述べています。SNSなどで同じ動画を見ても、それぞれの感じ方は個性によって異なるという筆者の考え方がとらえることができれば難しい内容ではありません。

(問題1)問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
 短歌・俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりすることに、どのような効果があるのかを答える問題です。空欄を補充する形で答えるので「という効果」につながるような言葉を使っていきます。前年度・前々年度でも今回の問題のように字数が指定されていないものが出ています。また今回は、「文章1・文章2で挙げられている例を一つずつ探し、解答らんに合うように答えなさい」という指示があります。ポイントは各文章からそれぞれ一つずつ 例を探すということです。例ですので、抽象化されたものではなく具体例に注目します。そして「探す」ということなので、字数の指定などはないものの、ほとんど抜き出す形式に近いと言えます。まずは文章1・文章2のそれぞれから「短歌や俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりする」という動作に該当する例を探していき、その動作によってもたらされる効果・影響が書かれている部分を、「という効果」につながる形に直して、書いていきます。抽象・具体を区別する必要があり、普段の演習時から、これらをしっかり区別して読解をおこなっているかどうかが、解く上でのポイントになっていました。

(問題2)文章2の傍線部に関連する二文を、文章1から抜き出し記述する問題
 文章2の傍線部について問われ、文章1から連続する二文を探して、最初と最後の4文字を答える問題です。これまでの共同作成問題で何度も出されてきた文章横断型の問題ではありますが、今までは傍線部がある文章から大まかな情報を整地して、もう一方の文章から探す答えの方向性を絞るという作業が求められました。しかし今回は、文章2から得られる傍線部に関する情報はほとんどなく、「文章1の筆者は、短歌を読んで どのような情景を想像しているでしょうか」という問いから考えていけばよい問題でした。文章1から短歌を読み、その内容から何を想像しているかということに注意して読んでいきます。冒頭の岡本かの子・与謝野晶子の短歌の後に、「桜の咲くころ~と浮かぶ。」という部分がありますが、連続する二文を情景として抜き出すことを考えると、その後の文が答えとして考えることは難しいです。次に大西民子の短歌の後にも、想像している情景として読み取れる部分があり、この「青い空」に関する記述を抜き出す必要がありました。文章2を踏まえるという過程があまり求められず、文章1から情報を探す際にも、ややわかりにくいものになっているので、この問題に時間をかけてしまうことがないように気を付けなければいけない問題でした。

(問題3)二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
 これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかの考えを述べる問題です。また文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方のいずれかにふれることが条件になっています。したがって、まずは短歌・俳句に対する考えを読み取ったうえで、自分にとって書きやすいほうを選択する必要があります。文章1は短歌や俳句を何度も唱えることで、自分の気持ちを前向きに変えることができるという内容であり、文章2は表面的な言葉だけを見るのではなく、日々生活を送っている人々の気持ちを想像して勉強していくうちに、すばらしい俳句が生まれるという内容です。言葉によって気持ちを前向きにできるという内容の文章1の方が、学校生活で仲間と関わるうえで使っていく言葉に関する考えは書きやすいと思われます。選んだ文章の内容にふれつつ、その内容に寄せた自分の考えとその根拠などを、学校生活で想定される例とともに書いていけばよいでしょう。近年の作文問題の字数は、400字以上440字以内の傾向が続いており、各段落に各内容についても詳細なものは指定されていません。つまり指定字数の中で、ある程度自分で構成を考えた上で書いていく近田が求められているのだと考えられます。また今後の学校生活を意識する内容も続いているので、中学校生活での例を挙げられるように、対策をしていく必要があるでしょう。

〔適性検査Ⅱ〕共同作成問題

1⃣ デジタル数字を題材にした問題(共同作成問題)
 1⃣は前年同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものとなっています。条件に合わせて考える力が必要でした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度となっています。

〔問題1〕条件に合う作業の分担方法を考える問題
 マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、45分未満ですべての作業を終わらせます。作業する人によってかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。太郎さんはマグネットシート1枚当たり「かく」作業に10分、「切る」作業に5分かかり、花子さんは「かく」作業も「切る」作業もマグネットシート1枚当たり7分かかります。問題文の条件より、最初の作業は同時に始めないといけないため、最初の作業は二人とも「かく」作業になります。その後は、「かく」作業が太郎さんより速い花子さんはずっと「かく」作業を、「切る」作業が速い太郎さんはずっと「切る」作業を、という風に分担すれば45分未満で作業を終えることができます。ルールをきちんと把握していれば、記述する内容も単純なので、比較的得点しやすい問題でした。

〔問題2〕最短時間で操作を完了させる方法を考える問題
 ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作(2秒)」「マグネットを取る操作(2秒)」「数字の書かれたポードを180度回す換作(3秒)」「2枚のボードを入れかえる操作(3秒)」を組み合わせて考えます。本間では456から987にする場合が問われています。回転と入れかえはそれぞれる秒かかってしまうものの、入れかえを行わずに456を987にすることを考えると、どうしても時間がかかってしまいます。したがって、できるだけ効率の良い手順で入れかえを行う必要があります。会議文で6を回転させると9になることが説明されているので、6を回転させて9にしてから4と入れかえ、4を7にすることを考えます。真ん中の5はマグネットを2本加えれば8にできます。しかしこれが「最短」の方法であることを確かめようと思うと時間がかかりますので、確実に得点するという観点で言うとやや離しい問題だったように思われます。

2⃣ 公共交通機関の利用について考える問題
 令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。会話文や資料は過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であり、設問も解答の見当をつけやすいため平易な問題といえます。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。

〔問題1〕グラフが示す数値の根拠を考察する問題
 公共交通機関の利用客が航空機または鉄道に偏っている理由を、表1の所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。図1より、AからBへの移動には航空機と鉄道がほぼ同じ割合で利用されているのに対し、AからCへの移動には航空機の利用合が非常に高く、AからDへの移動には鉄道の利用制合が非常に高いことが読み取れます。また、表1には、航空機と鉄道それぞれを利用して移動した場合の所要時間と料金が移動経路ごとに示されています。これらを関速させて考えると、人びとが公共交通機関を利用するときは、公共交通機関ごとの所要時間および料金の差をふまえて選択していると予想できます。なお、AからCとAからDはどちらを選択しても正解です。ただし、問題の条件より、いずれの場合もAからBの公共交通機関の利用割合と比べながら解答する必要があることに注意してください。問われていることもふまえて考えると、解答の若き方は「AからBの公共交通機関の利用合は~になっているのに対して、AからC(またはAからD)の公共交通機関の利用合は~になっている。その理由は、~からと考えられる。」といった表現が考えられるでしょう。

〔問題2〕複数の資料を組み合わせて説明する問題
 「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数の資料と会話文から読み取って説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。ただし、今年度は理由と効果を書く解答欄が分かれている形式の解答用紙だったため、受検生は例年と比較すると問いに正対して解答しやすかったものと思われます。会話文から、E町では路線バスの運行本数が減少しているなかで「ふれあいタクシー」を導入したことがわかります。また、利用者の90%近くが「ふれあいタクシー」に満足していることがわかります。これらの情報をもとにして、問題で指定された4種類の資料から読み取れる内容を、過不足なく組み込みながら説明するようにしましょう。今回は、表2、図2、表3が、それぞれの項目の推移を示す資料となっています。推移を読み取るときは、数値の大まかな変化の過程を読み取ることがポイントです。

3⃣ 摩擦に関する実験を題材とした問題
 3⃣は、ここ3年は、小問2つにそれぞれ枝問が2つあり合計4問、という構成でした。しかし今年度は枝問が1つずつになり、合計2問構成となりました。実験の内容自体も比較的素直で読み取りやすいため、ここ数年では最も取り組みやすい難易度だったと言えます。題材としては、旅に関して調べる実験を行い、その結果を分析する問題でした。計算を必要とする問題はなくなり、読解力・考察力・記述力が試される構成となりました。どちらの問題も、内容理解はそれほど難しくないため、平均点は高くなると考えられます。しかし、満点解答を出すうえでは、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで解答する、答案作成力が必要な問題でした。

〔問題1〕素材の表面の状態の違いによる摩擦の大きさの違いを考える問題
 ペットボトルのキャップにつけられたみぞの摩擦による効果を、モデル化して調べた実験についての問題です。実験の結果から、表面にみぞをつけることで、手でキャップを回すときにすべりにくくなると考えられる理由を説明する問題でした。ペットボトルのキャップを回すときのように、みぞの方向と力の方向が垂直なときには、動き出すのに必要なおもりの個数が多いことが、実験結果からわかります。 これが、ペットボトルのキャップを回すことを考えると、すべりにくいということに相当します。また、問題では「手でつかむ力が大きいときでも小さいときでも」とありますので、載せる金属の重さが 750g の場合と 1000gの場合の両方について記逃する必要があったと考えられます。このように、「手でつかむ力」を「のせる金属の重さ」に、「表面のみぞの方向が回す方向に対して垂直であるペットボトルのキャップ」を「糸に対して垂直にみぞをつけたプラスチックの板」に、「すべりにくさ」を「おもりの個数」に、それぞれモデル化した実験が行われていることを理解する必要がありました。

〔問題2〕斜面をすべり下りる物体の速さの違いを考える問題
 会話文から、斜面をすべり下りる物体の速さについて、「物体が斜面に接する面積」、「物体の重さ」、「斜面に接する物体の素材」の3つの観点が挙げられ、これらの条件によってすべり下りる速さがどう変わるかを調べる実験についての問題です。6通りの条件で斜面をすべり下りるのにかかる時間を調べた実験の一部が隠されており、その中から結果が同じであると予想できる組み合わせを選び、そう考えた理由を説明する問題でした。この設問に対しての実験は2つ行われていますが、両方を通して、複数の条件によって変わる実験結果を考察する必要があります。そのため、対照実験の考えを用いた実験結果の読み取りと客作成が必要な問題でした。「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件」については、そのことを意識して実験手順を読み取れば、「物体の重さ」であること自体は分かりやすいです。あとは、明らかになっている結果のうち、「斜面に接する物体の素材」が同じ場合には、すべり下りる時間も同じになっていることが分かれば、結果が同じになる組み合わせを選ぶことは、比較的やりやすかったと言えます。答案作成においても、「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件は何であるかを示して」という指示を意識することが重要でした。

〔適性検査Ⅲ〕

 <出題形式>
 今年度の両国中の適性は、大問2題、小問6階で前年度の問題構成から小問が1題談りました。大問2階とも算数分野からの出題で、例年の出題傾向と概ね近いものでした。

1⃣算数分野から、計算力・論理的思考力をみる問題
例年よりも出題数が小問1題分多かった前年度から、小問3問構成となり例年の出題数である小問6題となりました。様々な分野から出題される傾向に変更はなく、試験時問を考えると旅行すること以上に思考して論理的・合理的に解く力が求められる出題でした。問題文の会話が続きますが、前問との関連性はほぼなく独立して出題されるため、合格へ向けては一問一問をしっかり考えて正解できることが望ましいでしょう。

[問題1]会話文で与えられた数字を用いて、行列がなくなるまでの時問を求める問題
お店に並ぶ行列が途切れ品物が完売するまでにかかる時問を計算する問題でした。会話文にある数値をそのまま用いる問題で、途中で単位変換を挟みますが、しっかりと計算ができれば解ける問題でした。落とさずに着実に正解したい問題です。

[問題2]小盛・並盛・大盛の組み合わせから、条件に合う解答の1つを見つけ出す問題
 不定方程式の考えを用いて、条件に合う解答の1つを答える問題でした。試験時問を考えると、やみくもに条件に合う数値を探すよりも、自分で条件を絞り合理的に答えを導き出す方が効率の良い解き方と考えられます。複数の答えが考えられるため後回しにしがちですが、時問を掛けることで正解までたどり着きやすいため、こちらも正解したい1問と言えます。

[問題3]売り買いによって生じる紙幣と硬貨の残数について、合計数を答えさせる問題
閉店後に清算が完了したレジの中にある、紙幣と硬貨の枚数を答える問題です。開店前から既にしジに紙と硬貨が入っていることに加え、お客さんごとに支払い方法も異なるため、場合分けを行うなどを据えて解く必要がある時問のかかる問題でした。正解となる紙・硬貨の枚数を全て答えさせるため、ミスなく全てを正解するのは難しい問題でした。

2⃣算数的な論理的思考と特徴的な図形を答えさせる問題
 前年度とは異なり、大問2では問題の連続性がなくそれぞれが独立した分野からの出題でした。1と同様に、試行する力と合わせて論理的・合理的に答えを導き出す力が問われた問題で、どの問題も複数の解答が考えられるなど、今年度の適性検査目は選択の自由度が高かったと言えます。特に(問題3]は、難易度が高く正解率が低いと思われるため、合格を左右する問題ではなかったと言えるでしょう。

〔問題1〕2人の誕生日について、足し算とかけ算の関連性をもとに条件に合う日付を答える問題
 短い問題文ながら、条件にあてはまる誕生日の1組について答えさせる問題でした。試行することでも求められますが、受検生としては論理的・合理的な思考力を駆使して、最小限の時問で解答までたどり着きたいところです。時問をかければ正解することは難しくないこともあり、着実に正解したい1問です。

〔問題2〕色紙を用いた2人制ゲームにおいて、両者の得点と勝者について考えさせる問題
 袋から取り出した色紙の種類で決まる得点について、2人制ゲームの勝者が決まる場合の組み合わせを答える問題です。会話文から条件をしっかり見抜き、場合に分けて考える必要があります。複数の答えが考えられるため混乱しがちですが、場合分けを行い冷静に対処すればそれほど複雑ではない問題と言えます。

〔問題3】折り紙の張り方を考えモザイクアートのような図形を、条件を参考にしながら解く問題
 図形の単純な問題ではなく、条件や会話文から問題の意味を理解するのに時問がかります。試行して解ける問題でもないため、解くまでに時問を掛けて出題の意図と方向性を決めてから解く必要があり、正解者は多くない問題だったと考えられます。制限時問を考えると、回避はやむを得なかったのではないでしょうか。


東京都立両国高等学校附属中学校 2023年度

〔適性検査Ⅰ〕共同作成問題

 例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。 読解問題では2019年度以降続いて出題されていた文章横断型の問題 (傍線が引いてある文章とは異なる文章から解答を書いたり探したりする問題) は出題されませんでした。作文問題は前年度と同様、各段落に書くべき内容は指定されず、自分で適切に段落分けをする問題でした。
〔問題1〕は傍線部分の理由を本文中から抜き出す問題です。 傍線部周辺の情報を丁寧に読み取ることが求められましたが、難度自体は高くはなく、必ず正解しておきたい問題でした。〔問題2〕は、「行間を読む」ことについて、本を読むことにおいては何をどうすることか、「真実」「事実」 という語を用いて説明する問題です。 一見簡単そうに見えますが、端的にまとまっている一文があるわけではなく、複数箇所の情報をまとめる必要があるため、点数の分かれる問題でした。 〔問題3〕は、二つの文章から読み取った「共通していると思う考え方」 をまとめ、それをはっきり示したうえで、これからの学校生活でどのように学んでいくつもりか、 関連させて作文を書くことが求められています。 これまでの年度の問題と比べて、二つの文章ともに抽象度が高いこと、双方の文章ともに筆者の主張が一文でまとめられる類の文章ではないこと、 共通点が明示されていないこと、などの理由から、二文の 「共通していると思う考え方」をまとめる作業は難しかったはずです。 日ごろから、文章全体の大意を読み取る力を養うことが肝要です。

〔適性検査Ⅱ〕共同作成問題

大問3題小間6構成です。前年度同様に、[大問1]は質数分野、[大問2]は社会分野、[大問3]は理科分野からの出題でした。
[大問1]は、プログラム通りに動くロボットの移動経路を考える問題や、複数のスイッチを押したときに起こる変化を考える問題など、条件に合わせて考える力が必要な問題でした。適性検査の理系としては頻出の内容です。非常に難易度が高かった前年度に比べると落ち着いたものの、依然として文章量・作業量ともに多く、45分の中で解き切るには十分な準備が必要でした。
[大問2]は、前年度、前々年度と同様に小問2題の構成で、計質問題は出題されませんでした。大問全体の話題も引き続き日本の産業について考える内容でしたが、前々年度と前年度は第1次産業を中心とした内容だったのに対し、今年度は日本の産業構造全体に関連する内容となっていました。会話文や資料自体は過年度の適性検査問題と比較しても特に複雑といえる内容ではないため、読み取りの難易度は高くなりません。しっかりと対策をして臨むことで高得点を目指せる話題でした。
[大問3]は、前年度に引き続き小問題は2問。各小問に2つの設問があり実質4問の出題です。実験結果を読み取りふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。実験結果を正しく読み解き、記述の答案を作成するのに時間がかかったものと思われます。

〔適性検査Ⅲ〕

今年度の両国高附属中の適性検査Ⅲは、大問2題、小問7題で45分実施となった前年度の問題構成から小問が1題増えました。 大問2題とも算数分野からの出題で、例年の出題傾向と近いものでした。
[大問1]では、総合的に算数力の基本を試される問題でした。 単問形式であるため、前の問題を解くことができなかったとしても次の問題が独立しているので、確実に自分が解くこと ができる問題を選び出して答えることが大切です。[大問2]では、複数ある条件を一つ一つ正しく理解して、必要な情報を取捨選択しながら解答する問題でした。 速さの利用規則性の利用にくわえて、機械の働き方を具体的にかつ正しくイメージすることが求められる問題でした。条件が複雑なため、[大問1]より正答率が低くなっています。