Camp+では、各中学・高校・大学の過去問について、傾向と分析を詳細に解説しています。都立中・都立高を中心に最新の過去問を大問ごとに分類し、傾向が一目で分かります。
〈文章・出典〉
文章1:佐藤いつ子「透明なルール」による
文章2:落合由佳「要の台所」による
〈出題形式〉
昨年度に引き続き2つの物語文からの出題でした。〔問題1〕〔問題2〕の読解問題の難度は昨年度よりやや易化しました。〔問題3〕の作文に関して、テーマとしては書きやすさがあるものの「問われ方」が例年と多少違うため、戸惑った受検生もいるかもしれませんが、難度は平年並みだったと言えます。
〔問題1〕本文表現の内容を問う問題(20字以上30字以内)
「透明なルール」について本文での二つの考え方を説明する問題でした。本文では、「同町圧力とかの目に見えないルール」、「とかの」とあるので、具体と抽象のイコール関係が成り立ちます。また、「透明なルールって同調圧力だけじゃない」と発言し、数学オリンピックのエピソード(具体)について述べています。その直後に「自分が自分に作ってしまう、透明なルール」と具体内容を抽象化しています。
「透明なルール」=「同調圧力」「自分が自分に作ってしまうもの」と読み取れます。「考えていたり、思ったりしているのに意見を言わない」「みんなの反応を勝手に決めつけて自分で自分を縛っていた」という内容があるのでこれらをヒントにして解答をまとめます。平易な問題であり、必答問題だったと言えます。
〔問題2〕本文表現の内容を問う問題
「人と人とのあいだのことも同じだよ。」という発言から話者がどのようなことを伝えようとしているかを答える問題でした。「も」に注目すると「料理」と同じであることが読み取れます。直前に「どうせまずくなる』なんて思いながら料理はしない」、直後に「相手と一つの料理を~」とありますが、こちらは「料理の話」、つまり「人問関係」を例えている内容です。問は「人問関係」に関してなので「これらの話」を人問関係に当てはめている「お互いに力を合わせる」という箇所を中心に考えていきます。
「1つの料理を作るようなもの」とあるのでこれと同じように、人問関係も「自分だけがんばる、相手に任せるのではなくお互いに力を合わせる」という要素が解答に使用できます。また、悪い方ばかり捉えてはいけないという要素も解答を作成するヒントとなりました。〔問題1〕より難度は高く、適性検査Iの点数を左右した一問です。
(問題2)指定部分の理由を答える問題
そろりさんがなぜメニューに「自信が持てるあんバタートースト」という名前を付けたのかを答える問題です。設問にある「( )というメッセージをお客さんに伝えるため。」という部分は解答のヒントに使用できます。さらに設問には「そろりさんの意図を想像して」という内容がありますので、文章中でのそろりさんの発言以外にも広く注意をして、考えていく必要があります。この小説文で中心になっている「自信が持てるあんバタートースト」、そこから「そろりさん」が伝えるメッセージを読み取るという点でこの小説文の主題を読み取らなければならない問題です。主題の読み取り、さらに〔問題1〕も〔問題2〕も広く文章をみる必要があり、前年度と比べ難化しています。文章中の「だから自信を持つことが大切なんですよ」など、そろりさんが発言した部分から考え、意図を想像して解答を作る必要があります。この問題の正否は適性検査Ⅰの点数に大きな影響を与えることになります。また60字以上70字以内の記述ですので、記述の型を意識して解答を作ることも大切でした。
〔問題3〕作文問題(360以上400字以内)
近年は段落を設けず1ますめから書き出すというものでしたが、今年度は段落を設けて1ますめを空けるという指示になりました。そのため、〈きまり〉を注意深く読む必要がありました。また、近年にはなかった段落での内容指定がありました。第一段落では 81字以上100字以内で自身の意見を考き、第二段落でその理由を書くというものます。意見に関して細かい文字数指定があるので、内容をまとめる力、学数に合わせて表現する力が試されました。理由に関しては自身の意見の根拠としての妥当性があるのか、論理的に説明ができているのかが問われています。作文のテーマにしては取り組みやすいものだったので、「書かなければならない内容」を条件にしたがって書けているかどうかが重要でした。
〔文章1〕の「透明なルール」に縛られて、自分の意見を表明しない様は、〔文章2〕でいう「相手と一つの料理を作る」状態にならずに、どちらか一方だけが作っている状態となります。そのため、「お互いに」「協調」「共同」などが重要な要素でした。自分の考えを相手に伝える、また相手の意見も尊重して協力していくという方向性の内容が考えられます。「自分でマイナスな方向に決めつけない」という内容も、両者に共通する要素として挙げられます。例年の三鷹中の適性検査Ⅰというよりも、共同作成問題の作文問題に近く、他校も含めて様々な問題に取り組んでいた受検生には解きやすい問題でした。
1⃣は三鷹中の独自作成問題で、算数分野からの出題でした。2⃣・3⃣は共同作成問題です。
1⃣算数の力を総合的にみる問題
三鷹中の独自作成問題で、算数分野からの出題でした。今年度はスーパーマーケットでの買い物を題材として、与えられた条件に従って試行や計算を行う問題が出題されました。昨年度は小問3問の構成でしたが、今年度は小問2問の構成で、1問に対する作業量が増えています。なお、〔問題2〕の記述量が多いため、説明として書くべき文章量はそこまで減っていません。また例年の傾向と異なり、今年度は円に関する問題が出題されませんでした。自分の意見を書く問題も出題されておらず、出題形式が他の都立中適性検査の算数の問題に近づきました。全体的に、難度は例年並みだったと言えます。
〔問題1〕組み合わせの場合の数を考える問題
バーコードについての条件を読み取り、数字を表す配線の組み合わせが何通りあるかを答える問題でした。合計が7になる4つの軽数の組み合わせをすべて見つけなくてはならず、場合分けしながら正確に数え上げていく力が求められます。また、数字の組み合わせを考えた後に、白と黒を反転させたパターンを考えるため、数え上げた場合の数を2倍するのもポイントとなりました。令和4年度でも類似の組み合わせの問題が出題されており、今回同様に、数え上げた場合の数の数を2倍する必要がありました。令和4年度の問題よりも組み合わせのパターンが多く、時問がかかるようになっていますが、考え方と要点は近いです。そのため過去問演習の際に、求め方にもこだわっていた受検生にとっては、非常に解きやすい問題だったと言えます。合否を分ける可能性のある、重要な一問でした。
〔問題2〕直方体の詰め方を考える問題
(1)は、ある容器にお菓子の箱AとBを複数個、隙問なく詰めるときの個数と入れ方を説明する問題、(2)は、その入れ方でお菓子の合計金額が最も高くなることを説明する問題でした。与えられた条件は少ないものの、答えるべきことが複数あるため、解法や記述の方針を素早く立てる必要がありました。「容器に隙問なく詰めること」から、箱それぞれの辺の長さをもとに入れ方の見当をつけるとよいでしょう。これを手掛かりに、容器の内のりと箱の辺の長さを利用して図を描きながら整理していくと、映問のない箱の入れ方を見つけることができます。合計金額が最大になる理由については、まずどちらの箱が値段の割に体積を取らないのかを考えたうえで、なるべく体積あたりの金額が安い方の箱で容器を埋め、次に残った隙問の使い方を比較する必要があります。何パターンかの試行を要することや、何から手を付けるのかを自分で判断しなければならないことも含めて、近年の三鷹中としてはやや珍しいタイプの問題だったと言えます。難度が高いため加点できた受検生は少なく、あまり差のつかない問題だったと言えます。
2⃣製品のリユースやリサイクルについて考える問題(共同作成)
令和3年度から引き続き小問2問の構成ですが、〔問題1]は、(1)と(2)に分かれており、(1)では割合の計算が出題されました。
共同作成問題の適性検査日大問2で割合の計算が出題されたのは、平成30年度以来です。大問全体の話題はリュースやリサイクルといった循環型社会に関するもので、受検生にとっては見慣れたテーマでしょう。また、会話文や資料は標準的で取り組みやすい内容であったため、2問とも正解するべき問といえます。解答に必要な要素を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現することが大切でした。
〔問題1〕割合を計算し、資料を比較して分析する問題
(1)は、図2または図3から選択した資料における循環利用率を計算したうえで、その結果が衣服の循環利用率と比較してどちらが高いかを答える問題でした。計算自体はどちらを選択しても3桁÷3桁と平易な割合の計算なので、確実に正解したい1問と言えます。ただし、ここでの選択は(2)にも関わるため、ただここを速く確実に解くだけでなく、そちらも見据えての選択をしておきたい1問でした。
(2)は、製品ごとの循環利用における特徴を比較し、共通点と異なる点を説明する問題でした。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、5年連続の出題となりました。問題の条件から、「ペットボトルと~の循環利用の共通点は~であり、異なる点は~である。」といった解答の枠を作り、必要な情報を読み取って完成させると解きやすいでしょう。共通点はペットボトル(図2)を選んでも、紙(図3)を選んでも自明ですが、異なる点は紙の方が答えやすかったため、(1)を解く時点で、こちらまで目を配っておく視野の広さがある受検生は、多少なりここで時問を節約できたでしょう。
〔問題2〕複数の資料を組み合わせて説明する問題
衣服の循環利用率を高める取り組みによって、消費者の意識や行動がどのように変化して循環利用率が高まるのかを説明する問題でした。[問題1](2)と同様に、解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は6年連統の出題となりました。この問題を正解する一番のポイントは、花子さんの「循環利用率を高める意識や行動もあれば、そうでないものもあります。」というセリフです。この観点で図4、図5、図6を見ると、無計画な服の購入、まだ着られる衣服を可燃ごみとして捨ててしまう、などが「そうでない」意識や行動であることが分かります。そして、その上でカードを見ると、そういった問題点を改善し、図4、図5、図6の「循環利用率を高める意識や行動」に当たるものへ導いていることが分かります。例年通りの都立中適性検査文系の、セオリー通りの解法が身についているか否かで正否が分かれる一問でした。
3⃣シャボン玉の性質について考える問題(共同作成問題)
近年の傾向通りの問題でしたが、例年よりも会話文が少なくなり、実験の手順の説明が詳細化されました。問題文中の表現も含めると、これまでであれば実験結果の着眼点を示唆するだけであったものが、それに加えて検証の仕方まで示唆されるものとなっており、大幅に解きやすくなったと言えます。しかし、思い込みなしに丁寧に問題文を読み取らないと、読み取り方が問違いやすい箇所があり、落ち着いて処理できたかどうかが重要でした。共同作成の適性検査山は、算数系の大問1の方が難度の高い年度と、理科系の大問3の方が難度の高い年度があります。今年度は解答の記述量の面で、大問3の方が難度が高かったと言えるでしょう。適性検査全体の難度が例年よりも易化したことと合わせて考えると、学校によっては合否の決め手となる大問と言えます。なお、シャボン玉とその体積、割れ方などを題材とした問題は後期日曜特訓第14回の適性検査I大問3と同一でした。このため、enaの後期日曜特訓を受講している多くの受検生は、大変取り組みやすい問題だったと言えます。
〔問題1〕シャポン玉の割れやすさに関する問題
シャポン玉は砂糖水から作ると割れにくい、ということについて、望ましい濃度を探る実験についての問題でした。食器用洗前、濃度、などのキーワードは、令和4年度の問題を考様させます。あくまで題材の近さであり、問われているものは異なりますが、問われているものを正しく読み取ると、実は令和6年度の(問題1)ととても似ています。条件を1つ変化させた実験2つの結果をふまえて答えを出す、結果をただまとめるだけでなく、その内容を換言する一手問がある、という特徴が踏題されています。そのため、近年の過去開をしっかり解きこんでいった受検生にとっては解きやすい一問でしたが、完全に正解した受検生はそこまで多くないと思われます。鍵となるのは前述の「換言」で、問われているのはシャポン玉の「体様」の比較ですが、資料には体積ではなく、空気入れを押した回数がまとめられています。「回数が多い→シャボン玉に入れられた空気が多い→体積が大きい」という置き換えを正しく説明しきれているかどうかが記述のポイントになります。こういった問題で点数を取り切れるように、過去問の演習をする際には、ただその問題を例題として扱うのではなく、肝となる部分はどこか、を意識して行うとよいでしょう。
〔問題2〕シャボン玉の時問経過による割れ方に関する問題
時問経過により、シャボン玉のまくをつくる液が徐々に下部にたまっていき、薄くなった上部から割れていくことについての実験結果の考察を答える問題です。実験の手順と結果は大変分かりやすく示されており、結果に対しての考察の検証をする実験まで行っていますから、現象についての理解は平易でした。そのため、この問題における得点の差は、問題文の条件通りに解答を作ることができているかどうかによるものが大きいでしょう。適性検査の問題文としての正しい読み取り方をすると、解答には4つの要素を入れなければなりません。それを正しい言語表現でまとめられたかどうかが重要でした。特に、前述の日曜特訓の問題で、現象(時問経過により、シャボン玉の液が下へいくことで、上部がうすくなり割れる)について問うほぼ同一のものを経験していますから、enaで日曜特訓を受講している受検生には特に解きやすい一問であったと言えます。
〈文章・出典〉
文章1:三浦しをん「墨のゆらめき」による
文章2:操野風「こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。」による
〈出題形式〉
今年度は近年出題されていた詩ではなく、2つの物語文からの出題でした。詩と文章ではなく、文章と文章で横断する必要がある問題は三鷹中において初めての出題となります。問題構成に関しては前年度と同様の読解2つ、作文1つです。問題全体のテーマとしては「多様性」となり、前年度と重なる部分が多いです。〔問題1〕と〔問題2〕では書くべき字数が大幅に増加しました。
〔問題3〕の字数や〈きまり〉、書くべき内容が提示されている点は前年度と同様でした。難易度は文章2本の出題となり、読み取れる情報が増加したものの前年度と比べて難化しました。〔文章1〕も〔文章2〕も読みやすい文章でしたが、記述解答の要素として本文の要素をどう組み立てるか、指定されていることに正しく対応することが重要な問題でした。
〔問題1〕指定部分の理由を答える問題
文章中の「俺」が「窓からの風を感じたあとの生徒たちの字は生き生きと躍動して見えた」理由を答える問題です。小説文の理由を答える問題は、詩が出題される前の三鷹中では頻出の問題でした。「俺」は生徒たちの「風」という字を見て、「こんなに多種多様で自由なものだったのか」と感心をしています。ですので「自由に見えた→だから、躍動して見えた」と因果関係で書く必要があります。さらになぜ字が自由に見えたかという情報を入れるようにしましょう。傍線部の近くだけで解答をするのではなく文章を広くみる力、因果関係を作る力、傍線部と対応している言葉を考える力など読解問題で基本となる力が求められる問題でした。「自由」という部分に着目できたかが、正否のポイントでした。
(問題2)指定部分の理由を答える問題
そろりさんがなぜメニューに「自信が持てるあんバタートースト」という名前を付けたのかを答える問題です。設問にある「( )というメッセージをお客さんに伝えるため。」という部分は解答のヒントに使用できます。さらに設問には「そろりさんの意図を想像して」という内容がありますので、文章中でのそろりさんの発言以外にも広く注意をして、考えていく必要があります。この小説文で中心になっている「自信が持てるあんバタートースト」、そこから「そろりさん」が伝えるメッセージを読み取るという点でこの小説文の主題を読み取らなければならない問題です。主題の読み取り、さらに〔問題1〕も〔問題2〕も広く文章をみる必要があり、前年度と比べ難化しています。文章中の「だから自信を持つことが大切なんですよ」など、そろりさんが発言した部分から考え、意図を想像して解答を作る必要があります。この問題の正否は適性検査Ⅰの点数に大きな影響を与えることになります。また60字以上70字以内の記述ですので、記述の型を意識して解答を作ることも大切でした。
(問題3)作文問題(字数360字以上400字以内)
〈文章1〉と〈文章2〉の内容をふまえて作文を書く問題です。字数や作文内に書くべき内容が指定されているなど、前年度と傾向は同様です。また作文のテーマとしては「多様性」となり、前年度と重なる部分が多いです。今年度では前年度にはなかった「〈文章1〉と〈文章2〉の内容をふまえて」という指示があります。近年の三療中でこの指示が出たことは初めてです。よって、〈文章1〉と〈文章2〉の内容を正しく理解し、はっきりと文章内容に合わせる必要があります。〈文章1〉は多様性を認めることで自宿につながる、〈文章2〉は誰かが決めた画一的なことではなく、自分のことを宿頼して自信を持っていくという内容です。この〈文章1〉と〈文章2〉の内容を正しく理解し、適切な具体化ができているかが大切です。また、設問に指定されている香くべき要を逃さないことも得点に重要です。〈きまり〉は前年度と同様でした。〈きまり〉を無視してしまうと、大幅減点となりますので注意が必要です。なお、今年度の作文問題も前年度と同様に三鷹中が掲げる「人間愛」につながる内容でした。
例年通り[大問1]は独自作成問題、[大問2]・[大問3]は共同作成問題です。
1⃣「グリーンウォーク」という学校行事の準備を題材にした問題
〔問題1〕は指定の条件を満たすような時刻と位置の関係を表すグラフを作成する問題でした。
〔問題2〕は円形のメダルのまわりに貼る折り紙の長さを計算し、メダルを100枚作るのに折り紙が足りるかどうかを答える問題でした。
〔問題3〕はA・B・Cチームのそれぞれの結果をもとに、複数の得点基準に基づいて得点と順位をつけ、さらにどの順位の決め方が良いと考えられるかを記述する問題でした。前年度と比較して問題数は同じでしたが、計算する作業量は増えているため、素早く正確な処理が求められました。
一方で、一つひとつの計算は複雑ではなく、記述しなければならない量も減っているため、総合的に見て難易度は少し易化したといえます。
〔問題1〕「時刻と位置の関係」を表すグラフを作成する問題
条件を正確に読み取り、「時刻と位置の関係」を表すグラフを作成する問題が出題されました。
三鷹中では図をかく問題が多く出題されていましたが、グラフをかく問題については近年出題例が無く、驚いた受検生もいるかと思います。しかし、速さのグラフをテーマとしたものは頻出であり、落とせない問題です。
歩く距離は明記されているので、実際に歩く時間と解答用紙1マスあたりの値を求めると、かくべきグラフの傾きがわかるので、あとは休憩時間を条件に合わせて反映させれば正解することができました。
〔問題2〕円形のメダルのまわりに貼る紙の長さを計算し、紙が足りるかどうかを答える問題
三鷹中では例年、円周率を使って計算する問題が出題されており、今年度で7年連続の出題となりました。まず、会話文と資料から「利用できる折り紙の長さの合計」と「メダル1個あたりに必要な折り紙の長さ」をそれぞれ求めます。そうすることで残りの折り紙で100個のメダルを作れるかどうかを計算することができます。また、計算を進めていく中で、折り紙の長さが15cmなのでメダルの円周より短く、メダルを1枚作るために2枚以上の折り紙を使うことがわかります。そのため、折り紙を重ねて貼る部分が少なくとも2か所になることを記述する必要がありました。計算の難易度は高くないため、合格するためには時間をかけずに書き切りたい問題でした。
〔問題3〕3つのチームの結果について、得点と順位の表を完成させる問題
どの順位の決め方がよいかを選び、選んだ理由を説明する問題順位と得点の表を完成させる問題は、作業量こそ多いですが、それぞれの得点を求める計算は難しくありません。一つひとつ正確に処理していきたい問題でした。また、理由の記述も、自分で決めた計算の結果をもとにして、企画の結果がどのように順位に反映されているかを考察すると書きやすかったと思います。会話文から「Bチームは見つけた鳥の種類が0種類でも総合順位が第1位になってしまう」ことが問題だと読み取れるので、得点の決め方の公平性について言及できているのかどうかもポイントです。自分の意見を書く問題は前年度も出題されていましたが、前年度と同様に簡潔に書いていればよいでしょう。なお、例年であれば2通りの問題のうちどちらかを選択して答える形式が多かったですが、今年度は2つとも表を完成させなければいけませんでした。作業量も相まって、解き切るためには時間を要する問題だったといえます。
2⃣ 公共交通機関の利用について考える問題
令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。会話文や資料は過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であり、設問も解答の見当をつけやすいため平易な問題といえます。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。
〔問題1〕グラフが示す数値の根拠を考察する問題
公共交通機関の利用客が航空機または鉄道に偏っている理由を、表1の所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。図1より、AからBへの移動には航空機と鉄道がほぼ同じ割合で利用されているのに対し、AからCへの移動には航空機の利用合が非常に高く、AからDへの移動には鉄道の利用制合が非常に高いことが読み取れます。また、表1には、航空機と鉄道それぞれを利用して移動した場合の所要時間と料金が移動経路ごとに示されています。これらを関速させて考えると、人びとが公共交通機関を利用するときは、公共交通機関ごとの所要時間および料金の差をふまえて選択していると予想できます。なお、AからCとAからDはどちらを選択しても正解です。ただし、問題の条件より、いずれの場合もAからBの公共交通機関の利用割合と比べながら解答する必要があることに注意してください。問われていることもふまえて考えると、解答の若き方は「AからBの公共交通機関の利用合は~になっているのに対して、AからC(またはAからD)の公共交通機関の利用合は~になっている。その理由は、~からと考えられる。」といった表現が考えられるでしょう。
〔問題2〕複数の資料を組み合わせて説明する問題
「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数の資料と会話文から読み取って説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。ただし、今年度は理由と効果を書く解答欄が分かれている形式の解答用紙だったため、受検生は例年と比較すると問いに正対して解答しやすかったものと思われます。会話文から、E町では路線バスの運行本数が減少しているなかで「ふれあいタクシー」を導入したことがわかります。また、利用者の90%近くが「ふれあいタクシー」に満足していることがわかります。これらの情報をもとにして、問題で指定された4種類の資料から読み取れる内容を、過不足なく組み込みながら説明するようにしましょう。今回は、表2、図2、表3が、それぞれの項目の推移を示す資料となっています。推移を読み取るときは、数値の大まかな変化の過程を読み取ることがポイントです。
3⃣ 摩擦に関する実験を題材とした問題
3⃣は、ここ3年は、小問2つにそれぞれ枝問が2つあり合計4問、という構成でした。しかし今年度は枝問が1つずつになり、合計2問構成となりました。実験の内容自体も比較的素直で読み取りやすいため、ここ数年では最も取り組みやすい難易度だったと言えます。題材としては、旅に関して調べる実験を行い、その結果を分析する問題でした。計算を必要とする問題はなくなり、読解力・考察力・記述力が試される構成となりました。どちらの問題も、内容理解はそれほど難しくないため、平均点は高くなると考えられます。しかし、満点解答を出すうえでは、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで解答する、答案作成力が必要な問題でした。
〔問題1〕素材の表面の状態の違いによる摩擦の大きさの違いを考える問題
ペットボトルのキャップにつけられたみぞの摩擦による効果を、モデル化して調べた実験についての問題です。実験の結果から、表面にみぞをつけることで、手でキャップを回すときにすべりにくくなると考えられる理由を説明する問題でした。ペットボトルのキャップを回すときのように、みぞの方向と力の方向が垂直なときには、動き出すのに必要なおもりの個数が多いことが、実験結果からわかります。 これが、ペットボトルのキャップを回すことを考えると、すべりにくいということに相当します。また、問題では「手でつかむ力が大きいときでも小さいときでも」とありますので、載せる金属の重さが 750g の場合と 1000gの場合の両方について記逃する必要があったと考えられます。このように、「手でつかむ力」を「のせる金属の重さ」に、「表面のみぞの方向が回す方向に対して垂直であるペットボトルのキャップ」を「糸に対して垂直にみぞをつけたプラスチックの板」に、「すべりにくさ」を「おもりの個数」に、それぞれモデル化した実験が行われていることを理解する必要がありました。
〔問題2〕斜面をすべり下りる物体の速さの違いを考える問題
会話文から、斜面をすべり下りる物体の速さについて、「物体が斜面に接する面積」、「物体の重さ」、「斜面に接する物体の素材」の3つの観点が挙げられ、これらの条件によってすべり下りる速さがどう変わるかを調べる実験についての問題です。6通りの条件で斜面をすべり下りるのにかかる時間を調べた実験の一部が隠されており、その中から結果が同じであると予想できる組み合わせを選び、そう考えた理由を説明する問題でした。この設問に対しての実験は2つ行われていますが、両方を通して、複数の条件によって変わる実験結果を考察する必要があります。そのため、対照実験の考えを用いた実験結果の読み取りと客作成が必要な問題でした。「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件」については、そのことを意識して実験手順を読み取れば、「物体の重さ」であること自体は分かりやすいです。あとは、明らかになっている結果のうち、「斜面に接する物体の素材」が同じ場合には、すべり下りる時間も同じになっていることが分かれば、結果が同じになる組み合わせを選ぶことは、比較的やりやすかったと言えます。答案作成においても、「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件は何であるかを示して」という指示を意識することが重要でした。
前年度と同様に詩と文章からの出題です。問題構成に関しても前年度と同様となります。
ただ、(問題2)の記述字数が前年度の100字以内から25字以上30字以内と大幅に減少したという変化がありました。作文問題では、前年度と比較すると、書くべき最低字数が10文字増加したこと、書くべき要素の指定が増加したことが変化としてあります。字数など変化は様々ありましたが、【詩】と【文章】のテーマは頻出のテーマであったため読みやすく、前年度と比べると易化しています。【時】
と【文章】が前年度よりも読みやすく、解答の中心部分も考えやすいですが記述解答として本文の要素をどう組み立てるか、指定されていることに正しく対応することが重要な問題でした。(問題1)は比喩表現の説明問題、(問題2)は詩と文章を横断して共通点を記述する問題、(問題3)は詩と文章を横断して考える作文問題で、作文内で書くべき内容は都立中で頻出テーマである「他者の尊重・他者を認める」という方向性のものでした。
例年通り[大問1]は独自作成問題、[大問2]・[大問3]は共同作成問題です。
[問題1]は遠足で行く山のケーブルカーやリフトを題材にした問題で例年通りの3問構成でした。[大問1]は図で表された地図をもとに略図にかきかえる問題でした。図をかく問題は前々年度から3年連続で出題されています。略図のかき方が例示されているので、会話文と例を照らし合わせながらかき方を理解していく必要があります。読み取った条件を守って丁寧に解く必要がありました。[大問2]は、円周率を使って計算する問題でした。三鷹中では2018年から6年連続で円周率を使って計算する問題が出題されています。ケーブルカーの車両につながれているケーブルをかける滑車が1回転するのにかかる時間を計算し、求め方を説明する問題でした。計算に必要な情報は会話文から素早く読み取る必要があります。[大問3]は、下山するケーブルカーとリフトには待ち時間があることをふまえ、徒歩と比較してどの方法が早く下山できるかを考える問題でした。ケーブルカーを使う場合とリフトを使う場合のどちらか片方を答える形式のため、考えやすい方を選ぶ必要がありました。