Camp+では、各中学・高校・大学の過去問について、傾向と分析を詳細に解説しています。都立中・都立高を中心に最新の過去問を大問ごとに分類し、傾向が一目で分かります。
文章1:小島渉『カブトムシの謎をとく』(一部改変)による
文章2:恩田陸『spring』による
〈出題形式〉
二つの文章に対して、読解問題が2問、作文問題1問という形式は昨年度と同様でしたが、文章については令和2年度(2020年度)ぶりに小説文が採用されました。昨年度の読解問題の一つは、特定の動作による効能を文章1、文章2それぞれから読み取るというもの、もう一つは文章2傍線部の表現についての問いを、文章1から適切な答えを抜き出すというもの(いわゆる横断型)でした。すなわち、問題の作りの上で、文章1と文章2のつながりが強かったと言えます。一方、今年度は解答欄に合うように答えを書くものと抜き出しをするという形式は同じでしたが、二つの文章内容について話し合う会話文が記載されており、それが2問に大きく関わってくるものになっていました。これまでもこのような会話文が組み込まれることはありましたが、作文ではなく読解の方に関わってくるのは初めての形式でした。この会話文の中で、文章1と文章2の共通点が示されるものの、問題1、問題2はあくまでそれぞれの文章の読解が求められるものとなっており、異なる二つの文章を重ねて読む、という都立中の適性検査1の独自性は薄まりました。作文問題については、字数は400以上440字以内で、段落ごとに書く内容についての指定はなく、問いに書かれた条件をもとに書いていくという、例年通りの形式でした。
ただし条件の中で、文章と「会話」の内容をふまえるという指示があり、読解・作文ともに文章と会話の理解が重要なものであったと言えます。テーマは自分にとっての「謎」を解決するために、どのような取り組みをするのかというものになっており、決して書きにくいものではありませんでした。
(問題1)会話文にあてはまる適切な語句を文章から抜き出し記述する問題
会話文に出てくる人物の、文章1の内容に関する発言にある空欄を補う問題でした。会話文に空欄が設けられる問題は初めて出題される形式でした。空欄は「ア」と「イ」の2か所あり、文章内から探す言葉の方向性を確認するために、会話文の内容を読み取る必要があります。会話文でかおるさんは、二つの文章の人物は両者とも、自分にとっての「謎」を解こうとしているということを述べています。そしてあおいさんは、この考えに同意したうえで、「柴田さんは、毎日継続し「ア」にカブトムシの様子を「イ」することで、謎をとこうとしている・・・」と述べています。よって、文章1の柴田さんの謎をとこうとする行動について書かれている部分を探していきます。会話文中という特殊性はあるものの、空欄自体は文章1の内容についてまとめた一文の中にあるため、一般的な国語の穴埋め問題と変わりありません。空欄の前後の表現から容易に答えを見つけることができるものでした。落ち着いて確実に得点しておきたい問題であったと言えます。
(問題2)空欄にあてはまる語句を文章内の表現をもとに考え記述する問題
会話文内の人物が文章2の登場人物の気持ちについて述べており、その気持ちがどのようなものなのか、空欄に適切な言葉を補充しながら説明する問題でした。特徴のある問題指示として、「文章2の中の一続きの表現をもとにして」というものがありました。「一続きの表現」なので、いくつかの文に解答の候補がまたがって述べられていると考えることができます。この表現を見つける手がかりとして、やはり会話文の分析が必要になります。文章2の登場人物の、どういう状況で何をしているときの気持ちを探せばよいのかということを確認することで、「一続きの表現」を見つけることは決して難しいものではありませんでした。しかし該当する表現部分はある程度の長さがあり、解答の候補になる言葉が複数考えられ、それを解答欄に合うように適切な字数で答えなくてはなりません。そういう意味では、差がつく問題であったと言えます。
(問題3)作文問題(400以上440字以内)
自分にとっての「謎」とは何か、またそれを解決するために、どのように取り組んでいる、あるいは取り組んでいこうと考えているか、440字以内で書く問題でした。過去の問題では文章1と2をふまえるという指示がほとんどでしたが、今回は二つの文章だけでなく会話文の内容もふまえる必要がありました。複数の文章から共通して述べている要素を考えて解いていくという練習をenaの日曜特訓や過去問演習などで積んでいた受検生は、このような指示に対しても落ち着いて対応ができたでしょう。文章1と2の登場人物の行動、会話文の内容をふまえると「自分が解き明かしたいと思うことを解決する行動として、継続して何回も繰り返し取り組む」という要素が読み取れます。以上の内容と条件をふまえて今回の作文構成を考えると、自分にとって解き明かしたい「謎」を一つ明らかにし、いま取り組んでいる、あるいは取り組もうとしている行動を、「継続」「繰り返す」という要素を含めて書いていくというものになります。テーマについても、enaの受検生は何度も練習をしてきた内容であり、昨年度の問題よりも書きやすくなっていたと言えます。
1⃣立体図形をテーマとした問題(共同作成問題)
〔問題1〕は、立体図形の展開図の面積を求める問題でした。〔問題2〕は、途中まで組み立ててある立体に2種類のブロックを使うことで、立方体を作る問題でした。例年との大きな違いは、大問を通して記述が無かったことです。代わりに、小数の計算や投影図の考え方などの算数の基礎的な力を必要とする出題となっており、計算力、空問把握能力が問われる問題でした。難度は昨年度と同等か、やや易化した形となりました。
〔問題1〕展開図から面積を求める問題
提示されている展開図と2人の会話から、展開図の面積を求める式と答えを出す問題でした。解くためのヒントは少ないものの、展開図から組み立てたときにどの辺とどの辺が重なるのか、円周率である3.14 を使った小数を含めた四則演算が正確にできるかがポイントです。面積を求めるための式と答えを出すといったシンプルな問題ではありますが、算数の基礎となる正確な計算力が必要となるため、日頃から小数のかけ算やわり算の演習を積むことで、早く正確に計算ができる力を養っておくとよいでしょう。
〔問題2〕立体を組み合わせることで立方体を作る問題
途中まで組み上げられている立体に、2種類のブロックをいくつか組み立てることで立方体を作る問題でした。一見、途中まで組み上げられている立体が複雑に見えますが、2種類のブロックのうち1種類しか合わない場所があるため、そのことに気づけたかどうかが正否の分かれ目となりました。図てから見た右の1列、正面の手前1列については1種類のブロックのみ組み合わせることができ、残りの8ヶ所を2種類のブロックで作る必要がありました。空いている形が複雑なところから埋めていくパズルに近い問題で、ブロックを埋めた後の形が正確にイメージできる、もしくは図にかくことができれば、解きやすい問題でした。
2⃣ ごみに関する環境問題をテーマとした問題
〔問題1〕は、計算問題、グラフ作成問題、グラフをもとに増減の仕方によって時代を大別してその特徴を記述する問題でした。〔問題2〕は、地図とそれに記載された工場の分布およびその工場ができた時期を見て気付いたことを記述する問題でした。〔問題3〕(1)は、清掃工場の設置によって地域にどのような課題が生まれるかを記述する問題、(2)は、(1)のような課題があると考える人を安心させる対策と、新しい見方ができるようになるための提案を121字以上150字以内で記述する問題でした。最後の問題の字数が減ったものの、問題数がわずかに増えたため、結果的に大きな変化はなく例年通りの出題だったと言えるでしょう。
〔問題1〕割合計算、折れ線グラフの作成、グラフの変化から時代を区別し特徴を記述する問題
(1)では例年通りの計算問題が出題されましたが、桁数は大きくなく、素早く正確に処理したい問題でした。(2)は、(1)の計算結果をもとにグラフを作成する問題でした。いつも通りていねいに、すばやくグラフを作成することが求められました。(3)は、(2)で作成したグラフの変化の様子を比較して、1955年から 2020年までを二つの時代に分け、それぞれの時代の特徴を書く問題でした。「増え方や減り方の特徴」と指示されているので、それぞれが増えているか減っているかと、その程度について記述する必要がありました。実際にグラフを作ってみると、1995年まではどちらも減少傾向ですが、1995年からは人口の割合だけが増加傾向だと分かりやすかったはずです。確実に正答しておきたい問題でした。
〔問題2〕資料にある複数の情報を組み合わせてその関係性を考える問題
地図とそれに記載された工場の分布およびその工場ができた時期を見て気付いたことを記述する問題でした。設問に「できた時期に注目する」とありますので、それにしたがうと、資料4の地図では、1975年より前にできた清掃工場は23区の外寄りの地域に多いと分かります。一方で、2000年より後にできた清掃工場は、渋谷区・中央区という東京23区の中心地域に存在しています。「分布」と「時期」が与えられていので、その関係性を記述すればよい、と考えられれば、花導士、問題のように複数資料を読み取る問題と思考過程はそう変わらないはずです。「資料から言い切れることだけで記述する」という適性検査の基本が詰まった問題でした。
〔問題3〕課題発見・課題解決型の記述問題
(1)は、課題発見の記述問題でした。「清掃工場が建てられることでおこる地域の課題」なので、清掃工場が無い場合と比べて考えると、「悪臭」「大気汚染」などの環境問題につながりやすいことは想像がつくはずです。ここでは社会科でよく取り上げられる「公害開題」を連想することができれば、比較的容易に解答の方向性が定まったと思います。あとは、しっかり問いに正対し答えているかの確認をする必要がありました。今回でいえば、「地域の」課題といえるかどうかが大切でした。個人レベルでは規模が小さすぎますし、反対に国家レベルの開題ではスケールが大きすぎて不正解となってしまいます。(2)の記述問題は、今年度は字数指定が121字以上150字以内になり、令和4年度までの字数に戻りました。若くべきことが「安心してもらうための対策」と「新しい見方ができるようになるための提案」の2つありました。(1)で答えたような課題に対しては、科学技術を用いて、臭いや有害物質をおさえるような対策が考えられるかもしれません。もちろんこの方向性も悪くはありませんが、会話文において「話し合うことで~安心してもらえる」とありますから、ここの具体化が必要でした。ちなみにこれは「安心」のための対策であり、前述の科学技術等で解決する方法は「安全」のための対策です。科学技術等での解決による「安全」で止まり、それが不安を抱えている人まで伝わらなければ、問には正対しません。また、「新しい見方ができるようになるための提案」についても、会話文から「ちがう意見を聞くことで」とありますので、反対した人たちが、清掃工場をプラスにとらえる考えに触れられる機会を作るような方法を考えればよいでしょう。
3⃣シャボン玉の性質について考える問題(共同作成問題)
近年の傾向通りの問題でしたが、例年よりも会話文が少なくなり、実験の手順の説明が詳細化されました。問題文中の表現も含めると、これまでであれば実験結果の着眼点を示唆するだけであったものが、それに加えて検証の仕方まで示唆されるものとなっており、大幅に解きやすくなったと言えます。しかし、思い込みなしに丁寧に問題文を読み取らないと、読み取り方が問違いやすい箇所があり、落ち着いて処理できたかどうかが重要でした。共同作成の適性検査山は、算数系の大問1の方が難度の高い年度と、理科系の大問3の方が難度の高い年度があります。今年度は解答の記述量の面で、大問3の方が難度が高かったと言えるでしょう。適性検査全体の難度が例年よりも易化したことと合わせて考えると、学校によっては合否の決め手となる大問と言えます。なお、シャボン玉とその体積、割れ方などを題材とした問題は後期日曜特訓第14回の適性検査I大問3と同一でした。このため、enaの後期日曜特訓を受講している多くの受検生は、大変取り組みやすい問題だったと言えます。
〔問題1〕シャポン玉の割れやすさに関する問題
シャポン玉は砂糖水から作ると割れにくい、ということについて、望ましい濃度を探る実験についての問題でした。食器用洗前、濃度、などのキーワードは、令和4年度の問題を考様させます。あくまで題材の近さであり、問われているものは異なりますが、問われているものを正しく読み取ると、実は令和6年度の(問題1)ととても似ています。条件を1つ変化させた実験2つの結果をふまえて答えを出す、結果をただまとめるだけでなく、その内容を換言する一手問がある、という特徴が踏題されています。そのため、近年の過去開をしっかり解きこんでいった受検生にとっては解きやすい一問でしたが、完全に正解した受検生はそこまで多くないと思われます。鍵となるのは前述の「換言」で、問われているのはシャポン玉の「体様」の比較ですが、資料には体積ではなく、空気入れを押した回数がまとめられています。「回数が多い→シャボン玉に入れられた空気が多い→体積が大きい」という置き換えを正しく説明しきれているかどうかが記述のポイントになります。こういった問題で点数を取り切れるように、過去問の演習をする際には、ただその問題を例題として扱うのではなく、肝となる部分はどこか、を意識して行うとよいでしょう。
〔問題2〕シャボン玉の時問経過による割れ方に関する問題
時問経過により、シャボン玉のまくをつくる液が徐々に下部にたまっていき、薄くなった上部から割れていくことについての実験結果の考察を答える問題です。実験の手順と結果は大変分かりやすく示されており、結果に対しての考察の検証をする実験まで行っていますから、現象についての理解は平易でした。そのため、この問題における得点の差は、問題文の条件通りに解答を作ることができているかどうかによるものが大きいでしょう。適性検査の問題文としての正しい読み取り方をすると、解答には4つの要素を入れなければなりません。それを正しい言語表現でまとめられたかどうかが重要でした。特に、前述の日曜特訓の問題で、現象(時問経過により、シャボン玉の液が下へいくことで、上部がうすくなり割れる)について問うほぼ同一のものを経験していますから、enaで日曜特訓を受講している受検生には特に解きやすい一問であったと言えます。
<出題形式>
例年通り、大問1は理科分野、大問2は算数分野から出題されました。理科分野は小石川中の定番である対照実験、身の周りの現象に関する問題が出題され、比較的加点しやすかった一方、算数分野は昨年度よりもかなり難化したと言えます。
1⃣光を題材にした問題
物理分野からの出題でした。前年度は知識をもとに考える問題がやや多く出題されましたが、今年度は会話文や図をもとに考える問題が多く出題されました。
〔問題1〕UVレジンに関する問題
UVレジンに紫外線を当てるとなぜ固まるのかについて考える問題でした。これまでの傾向と異なり、会話文中に一切のヒントがありません。従って、これまで学習してきた知識をもとに解答することになります。物質が小さな粒の集まりであることは、科学の知識勉強を積んできた受検生であれば明らかです。光を当てることによって、それらの粒が結合する、という方向で解答するとよい問題でした。
〔問題2〕実験結果を読み取る問題
赤外線にはものを温める性質がありますが、アルミはくで巻いた試験管の水は赤外線を当てても温まりません。それを対照実験によって確認したあと、(1)ではアルミはくのはたらきを、(2)では金属をはりつけた窓ガラスの長所と短所を日本の四季と絡めて答える必要がありました。(1)は「赤外線を通さない」という方向性できちんと書ければ正答となりますが、これは必答問題だったと言えます。(2)は、(1)を踏まえて解答するか、金属の性質、つまり熱伝導と関連付けて解答してもよいでしょう。こちらも確実に正答しておきたい一問でした。
〔問題3〕対照実験について考える問題
こん虫は光に集まってきます。このことを利用してこん虫を呼び寄せることをライトトラップと呼びますが、電球型けい光ランプ、LED竜球、白熱管球、紫外線ライト、消灯の5つについて、こん虫がどのくらい集まってくるのか実験で確かめています。(1)は実験結果をまとめた表からわかることを答える問題でした。(2)に関しても対照実験の基礎知識があれば取り組みやすい問題でした。こちらも必答問題だったと言えるでしょう。
〔問題4〕身近なものへの興味・関心を量る問題
人問の感覚ではとらえられないものを利用して、私たちの生活に役立てている製品の例を挙げる問関でした。赤外線を利用した人感センサーが例として挙げられているので、これ以外で一つ答えます。
例えば、エックス線を利用したレントゲンなどが挙げられます。他にも、竜波を利用したテレビなど
を答えてもよいでしょう。こちらも確実に正答しておきたい一問でした。
2⃣車のワイパーに関する問題
〔問題1〕ワイパーの模型を考える問題
ワイパーの模型を用意し、ワイパープレードにあたる部分が、地面と垂直になるように模型に棒を付け足す問題でした。頭の中でイメージしなければならないため、かなりの難度の高い問題でした。
〔問題2〕点の軌跡について考え、説明する力をみる問題
〔問題1〕とは別に枠でできた模型を用意し、それを指定の方法で動かしたときの特定の点の軌跡について考え、その理由を答える問題でした。こちらも頭の中でイメージする必要がありますが、それ自体は平易と言えます。しかし、理由を答えるのが受検生を悩ませたはずです。長方形や二等辺三角形、円の性質などと絡めて解答する必要がありましたが、難度の高い問題だったと言えます。実力がはっきりと分かれる、合否を分けた一問となりました。
〔問題3〕相似の関係を利用する問題
〔問題2〕よりもさらに複雑な模型を用意し、指定の方法で動かしたときの特定の点の軌跡について考え、その点が動いた長さを答える問題でした。相似を用いることで正しく理解することができますが、時問内にそれに気づくのは難しかったと言えます。まず問題文を理解することから難しく、一見必要そうな条件も見つからないので、正しく理解して解答していた受検生はごくわずかでした。しかし予想して解答すると、その予想が正しくなりやすい問題でもあったため、部分点を取った受検生も見られました。よくわからないことでも最後まで諦めず粘り強く解答を作成する、そんな根気強さが合格に結びつくと言えるでしょう。
文章1:東直子「生きていくための呪文」による
文章2:藤田 真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』
〈出題形式〉
4000字程度の文章が1題の形式で、読解問題2間、作文問題1間の例年と変わらないスタイルですが、前年度に比べて文章量は2倍近く増えました。また、ここ2年姿を消していた作文の条件指定が再登場しました。読解問題の字数は合計最大105字、作文の最大字数が460字となり、昨年よりは書く分量がやや減少した形です。テーマは「インターネット上で個人の好みに合った情報が自動的に選択される仕組み」についての説明と生命の子見不可能な存在であることを対比させて「人間は予見不可能な創造的 進化を遂げる」ものであることを述べています。SNSなどで同じ動画を見ても、それぞれの感じ方は個性によって異なるという筆者の考え方がとらえることができれば難しい内容ではありません。
(問題1)問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
短歌・俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりすることに、どのような効果があるのかを答える問題です。空欄を補充する形で答えるので「という効果」につながるような言葉を使っていきます。前年度・前々年度でも今回の問題のように字数が指定されていないものが出ています。また今回は、「文章1・文章2で挙げられている例を一つずつ探し、解答らんに合うように答えなさい」という指示があります。ポイントは各文章からそれぞれ一つずつ 例を探すということです。例ですので、抽象化されたものではなく具体例に注目します。そして「探す」ということなので、字数の指定などはないものの、ほとんど抜き出す形式に近いと言えます。まずは文章1・文章2のそれぞれから「短歌や俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりする」という動作に該当する例を探していき、その動作によってもたらされる効果・影響が書かれている部分を、「という効果」につながる形に直して、書いていきます。抽象・具体を区別する必要があり、普段の演習時から、これらをしっかり区別して読解をおこなっているかどうかが、解く上でのポイントになっていました。
(問題2)文章2の傍線部に関連する二文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章2の傍線部について問われ、文章1から連続する二文を探して、最初と最後の4文字を答える問題です。これまでの共同作成問題で何度も出されてきた文章横断型の問題ではありますが、今までは傍線部がある文章から大まかな情報を整地して、もう一方の文章から探す答えの方向性を絞るという作業が求められました。しかし今回は、文章2から得られる傍線部に関する情報はほとんどなく、「文章1の筆者は、短歌を読んで どのような情景を想像しているでしょうか」という問いから考えていけばよい問題でした。文章1から短歌を読み、その内容から何を想像しているかということに注意して読んでいきます。冒頭の岡本かの子・与謝野晶子の短歌の後に、「桜の咲くころ~と浮かぶ。」という部分がありますが、連続する二文を情景として抜き出すことを考えると、その後の文が答えとして考えることは難しいです。次に大西民子の短歌の後にも、想像している情景として読み取れる部分があり、この「青い空」に関する記述を抜き出す必要がありました。文章2を踏まえるという過程があまり求められず、文章1から情報を探す際にも、ややわかりにくいものになっているので、この問題に時間をかけてしまうことがないように気を付けなければいけない問題でした。
(問題3)二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかの考えを述べる問題です。また文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方のいずれかにふれることが条件になっています。したがって、まずは短歌・俳句に対する考えを読み取ったうえで、自分にとって書きやすいほうを選択する必要があります。文章1は短歌や俳句を何度も唱えることで、自分の気持ちを前向きに変えることができるという内容であり、文章2は表面的な言葉だけを見るのではなく、日々生活を送っている人々の気持ちを想像して勉強していくうちに、すばらしい俳句が生まれるという内容です。言葉によって気持ちを前向きにできるという内容の文章1の方が、学校生活で仲間と関わるうえで使っていく言葉に関する考えは書きやすいと思われます。選んだ文章の内容にふれつつ、その内容に寄せた自分の考えとその根拠などを、学校生活で想定される例とともに書いていけばよいでしょう。近年の作文問題の字数は、400字以上440字以内の傾向が続いており、各段落に各内容についても詳細なものは指定されていません。つまり指定字数の中で、ある程度自分で構成を考えた上で書いていく近田が求められているのだと考えられます。また今後の学校生活を意識する内容も続いているので、中学校生活での例を挙げられるように、対策をしていく必要があるでしょう。
1⃣ デジタル数字を題材にした問題(共同作成問題)
1⃣は前年同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものとなっています。条件に合わせて考える力が必要でした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度となっています。
〔問題1〕条件に合う作業の分担方法を考える問題
マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、45分未満ですべての作業を終わらせます。作業する人によってかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。太郎さんはマグネットシート1枚当たり「かく」作業に10分、「切る」作業に5分かかり、花子さんは「かく」作業も「切る」作業もマグネットシート1枚当たり7分かかります。問題文の条件より、最初の作業は同時に始めないといけないため、最初の作業は二人とも「かく」作業になります。その後は、「かく」作業が太郎さんより速い花子さんはずっと「かく」作業を、「切る」作業が速い太郎さんはずっと「切る」作業を、という風に分担すれば45分未満で作業を終えることができます。ルールをきちんと把握していれば、記述する内容も単純なので、比較的得点しやすい問題でした。
〔問題2〕最短時間で操作を完了させる方法を考える問題
ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作(2秒)」「マグネットを取る操作(2秒)」「数字の書かれたポードを180度回す換作(3秒)」「2枚のボードを入れかえる操作(3秒)」を組み合わせて考えます。本間では456から987にする場合が問われています。回転と入れかえはそれぞれる秒かかってしまうものの、入れかえを行わずに456を987にすることを考えると、どうしても時間がかかってしまいます。したがって、できるだけ効率の良い手順で入れかえを行う必要があります。会議文で6を回転させると9になることが説明されているので、6を回転させて9にしてから4と入れかえ、4を7にすることを考えます。真ん中の5はマグネットを2本加えれば8にできます。しかしこれが「最短」の方法であることを確かめようと思うと時間がかかりますので、確実に得点するという観点で言うとやや離しい問題だったように思われます。
2⃣ 世界の森林面積をテーマにして、環境問題について考えさせる問題
〔問題1〕計算問題、計算で求めた数値をもとにグラフを作成する問題、複数の地域のうち一つの地域を選び、資料をふまえて森林面積の増減の理由について考えを書く問題が出題されました。計算問題の数は増えましたが、例年よりも桁数が少ないため、かかる時間は同程度という印象です。また、複数の候補から一つを「選び」、理由や特徴を述べる問題は小石川中において顔出ですが、最も変化が大きい地域のアフリカを選択すると解答しやすかったのではないでしょうか。ただし、アフリカは人口が急増している→生活するために農地を確保したり、資源を多く得たりする必要がある→そのために森林を伐採する→よって森林面積が減少している、というように、わかりやすく筋道立てて記述することができたかどうかがポイントです。
〔問題2〕「世界の森林面積を増加させるためにはどうしたらよいか、減少させないためにはどうしたらよいか」について、「世界の国々はどのような協力をすればよいと考えるか」、考えを151字以上210字以内で書く問題です。前々年度までは150字以内、前年度は180字以内、そして今年度は210字と、求められる記述の量が増えていますが、今年は小問数が減ったため、丁寧に取り組むべき問題です。資料6と資料からは、一人当たりの国民総所得が増える、つまり経済が発展するに伴い木材の結要も増えていることがわかります。また、主に、「柱や板などに加工された木材」や「紙の原料となるパルプやチップ」「合板」などの用途の割合が高いこともわかります。したがって、森林面積を少させないようにするためには、加工された木材や紙の生産量を抑えるとよい、と筋道立てることができます。そのためには、どのような「国際協力」が必要になるかを考えてみましょう。また「今までの問題、解答」も参考にするので、〔問題1〕(3)で仮にアフリカを選択した場合は、「食料や木材資源などを後かに得られる国がアフリカに対して支援を行うことで伐採量を減らせる」といった要素も必要になります。また、森林面積を増加させるためには、伐採量を渡らし植林などの活動をしていくことが考えられますが、これも「国同士がどのような協力をすればよいか」という視点で、書かなければなりません。近年は、大問2の最後の記述問題は敬遠される傾向がありました。あるいは時間がないためとりあえず「埋めてみた」だけといった内容も目立ちました。しかし、先述したように、今年度は問題数が減ったことと、1⃣(算数)と3⃣(理科)が取り組みやすい問題だったため、合否を分ける1問となる可能性が高いです。
3⃣ 摩擦に関する実験を題材とした問題(共同作成問題)
3⃣は、ここ3年は、小問2つにそれぞれ枝問が2つあり合計4問、という構成でした。しかし今年度は枝問が1つずつになり、合計2問構成となりました。実験の内容自体も比較的素直で読み取りやすいため、ここ数年では最も取り組みやすい難易度だったと言えます。題材としては、旅に関して調べる実験を行い、その結果を分析する問題でした。計算を必要とする問題はなくなり、読解力・考察力・記述力が試される構成となりました。どちらの問題も、内容理解はそれほど難しくないため、平均点は高くなると考えられます。しかし、満点解答を出すうえでは、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで解答する、答案作成力が必要な問題でした。
〔問題1〕素材の表面の状態の違いによる摩擦の大きさの違いを考える問題
ペットボトルのキャップにつけられたみぞの摩擦による効果を、モデル化して調べた実験についての問題です。実験の結果から、表面にみぞをつけることで、手でキャップを回すときにすべりにくくなると考えられる理由を説明する問題でした。ペットボトルのキャップを回すときのように、みぞの方向と力の方向が垂直なときには、動き出すのに必要なおもりの個数が多いことが、実験結果からわかります。 これが、ペットボトルのキャップを回すことを考えると、すべりにくいということに相当します。また、問題では「手でつかむ力が大きいときでも小さいときでも」とありますので、載せる金属の重さが 750g の場合と 1000gの場合の両方について記逃する必要があったと考えられます。このように、「手でつかむ力」を「のせる金属の重さ」に、「表面のみぞの方向が回す方向に対して垂直であるペットボトルのキャップ」を「糸に対して垂直にみぞをつけたプラスチックの板」に、「すべりにくさ」を「おもりの個数」に、それぞれモデル化した実験が行われていることを理解する必要がありました。
〔問題2〕斜面をすべり下りる物体の速さの違いを考える問題
会話文から、斜面をすべり下りる物体の速さについて、「物体が斜面に接する面積」、「物体の重さい、「斜面に接する物体の素材」の3つの観点が挙げられ、これらの条件によってすべり下りる速さがどう変わるかを調べる実験についての問題です。6通りの条件で斜面をすべり下りるのにかかる時間を調べた実験の一部が隠されており、その中から結果が同じであると予想できる組み合わせを選び、そう考えた理由を説明する問題でした。この設問に対しての実験は2つ行われていますが、両方を通して、複数の条件によって変わる実験結果を考察する必要があります。そのため、対照実験の考えを用いた実験結果の読み取りと客作成が必要な問題でした。「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件」については、そのことを意識して実験手順を読み取れば、「物体の重さ」であること自体は分かりやすいです。あとは、明らかになっている結果のうち、「斜面に接する物体の素材」が同じ場合には、すべり下りる時間も同じになっていることが分かれば、結果が同じになる組み合わせを選ぶことは、比較的やりやすかったと言えます。答案作成においても、「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件は何であるかを示して」という指示を意識することが重要でした。
<出題形式>
小石川中の独自作成問題で、大問2題小問7問構成でした。前年度同様に、1⃣が理科分野、2⃣が算数分野からの出題でした。
1⃣ 音をテーマとした問題
物理分野からの出題でした。前年度は知識をもとに考える問題がやや多く出題されましたが、今年度は会話文や図をもとに考える問題が多く出題されました。
〔問題1〕人の声を直接聞いたときと電話で聞いたときの違いに関する問題
2人の声を直接聞いたときに聞き分けられる仕組みと、電話で声を聞いたときに人を認識し間違える理由を答える問題です。2人がそれぞれ直接声を出したものと、そのうちの1人が電話を通して声を出したものの3つの場合について、オシロスコープで見たときの形が図で示されています。3つの図の中から2つ選んで比較して記述をする必要があります。図の選び方は対照実験のような考え方で、直接聞いた声の違いを知りたい場合は、2人の異なる人がどちらも直接出した声をオシロスコープで見た図を比べる必要があります。直接聞いた声と竜話で聞いた声の違いを知りたい場合は、同じ人が直接出した声と電話で出した声をオシロスコープで見た図を比べる必要があります。会話文を元に考えることができ、記述としては書きやすい問題でした。
〔問題2〕アマガエルの鳴くタイミングに関する問題
3匹のアマガエルが2秒間に鳴く様子を観熱したとき、他のアマガエルと重ならないように鳴いていることが示され、(1)ではその理由を、(2)では鳴くタイミングをどのように判断しているのかを答える問題でした。特に(1)は会話文に書かれている内容が鍵になり、正解しておくべき問題です。(2)は明確なヒントが無く、難度の高い問題でした。(3)では鳴いたアマガエルの位置を把握するためにどのような工夫をしたらよいかを説明する問題でした。例年、実験方法を説明し、それに対する予想される結果を進べる問題が出題されていましたが、今年度は調査方法を説明する問題でした。(3)も(2)同様、明確なヒントが無く、難度の高い問題でした。
〔問題3〕アマガエルの鳴き方に関する問題
長い間隔で複数のアマガエルが鳴く様子を記録した図から分かることを答える問題です。会話文では、記録した図から常に鳴き続けているわけではないことが分かると書かれており、それ以外に分かることを答えます。〔問題2〕で使用した図は2秒間鳴き声を記録した図ですが、〔間題3]で使用する図は900秒の長い時間で鳴き声を記録した図です。2秒間のときと900秒間のときでは異なる特徴があると読み取ることができ、短い時間で観察すると声が重ならないように鳴いていることが分かりますが、長い時間で観察するとほぼ同時に鳴いていると、対比の考え方でも読み取ることができます。
〔問題4〕身のまわりのものについて答える問題
オン・オフが自動で切り替わるものを一つ例に挙げ、オン・オフが切りかわる目的を答える問題でした。身のまわりのものについて答える問題は令和3年度までの小石川中で顔出の問題でした。
2⃣ 条件に合うようにグループ分けを行う問題
組み合わせをテーマにした問題でした。条件をもとに書き出して調べる問題が多く、確実に正解したい問題が多く出題されました。
〔問題1〕プレゼント交換に関する問題
5人ずつで組まれた2つのグループの計10人が、それぞれのグループ内でプレゼント交換をします。10人それぞれのほしいプレゼントがいくつか示されていて、なるべく全員がほしいプレゼントをもらえるようにするときの組み合わせを考えます。片方のグループでは全員がほしいプレゼントがもらえるような組み合わせが決まり、(1)ではその組み合わせを答える問題です。もう一方のグループでは欲しいプレゼントをもらえないメンバーがいて、(2)ではその理由を答える問題です。適性検査で頻出の、条件のきついものから考えるという考え方を使うと答えやすい問題であり、必答問題でした。
〔問題2〕条件をもとにペアをつくる問題
2つのグループ、グループ1とグループ2のメンバーとでペアをつくる組み合わせを考える問題です。ペアの決め方が順を追って会話文と図に書かれているので、丁寧に照らし合わせて理解をする必要があります。(問題1)と同様に、条件のきついものから考える力が決められますが、他の問題と比べて時間を要し、やや難しい問題といえます。
〔問題3〕条件に従い書き出して調べる問題
10人のメンパーと実行委員の2人の合計12人が互いの手をタッチし、それぞれがタッチした人数が指定した通りにできるかを考える問題です。問題では、実行委員のうちの1人を除く11人がタッチした人数が全員違うようにするときの、もう1人の実行委員がタッチする人数を求める問題です。条件に(問題2)で決まったペアをのぞいた10人が互いの手をタッチすることがあり、タッチする人数が 0人の場合と10人の場合が会話文で記されています。例をもとにして条件に従い丁寧に書き出して調べることで答えを求めることができます。類題を経験している受検生が多かったのではないでしょうか。
例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。
読解問題では2019年度以降続いて出題されていた文章横断型の問題(傍線が引いてある文章とは異なる文章から解者を書いたり探したりする問題)は出題されませんでした。
作文問題は前年度と同様、各段落に書くべき内容は指定されず、自分で適切に段落分けをする問題でした。
(問題1)は傍線部分の理由を本文中から抜き出す問題です。傍線部問辺の情報を丁寧に読み取ることが求められましたが、難度自体は高くはなく、必ず正解しておきたい問題でした。(問題2)は、「行間を読む」ことについて、本を読むことにおいては何をどうすることか、「真実」「事実」という語を用いて説明する問題です。一見簡単そうに見えますが、端的にまとまっている一文があるわけではなく、複数所の情報をまとめる必要があるため、点数の分かれる問題でした。(問題3) は、二つの文事から読み取った「共通していると思う考え方」をまとめ、それをはっきり示したうえで、これからの学校生活でどのように学んでいくつもりか、関連させて作文を書くことが求められています。これまでの年度の問題と比べて、二つの文章ともに抽象度が高いこと、双方の文章ともに筆者の主張が一文でまとめられる類の文章ではないこと、共通点が明示されていないこと、などの理由から、二文の「共通していると思う考え方」をまとめる作業は難しかったはずです。日ごろから、文章全体の大意を読み取る力を養うことが肝要です。
例年通り〔大問2〕は独自作成問題、〔大問1〕・〔大問3〕は共同作成問題です。
図は電子書籍をテーマとした問題でした。(問題1)は計質問題、グラフ作成問題、作成したグラフの変化の様子を読み取る問題でした。(問題2)は、電子出版のなかでもコミックの販売額が増えている理由の考察と、その考えが正しいかどうかを確かめる方法を説明する問題、紙の「事典・辞書」の販売用数が減っている理由について会話文や資料をもとに考えを書く問題、(問題3)は紙を使った出版と電子出版をどのように使い分けることが将来の出版にとってよいと考えるか、具体的な方法を 151字以上180字以内で説明する問題でした。最後の問題の学数が増えたものの、問題数や形式ともに大きな変化はなく例年通りの出題だったと言えるでしょう。やや易化した前年度の問題より難度が上がりました。
〔大問1〕は観察池やアクアリウムで生きる動植物をテーマとした生物分野からの出題でした。近年は物理分野・化学分野からの出題ばかりだったため、おどろいた受検生もいたと思います。(問題1)は小学校の観察池で生物が生き続けるのに必要な環境を考えて説明する問題です。(問題2)は光合成の仕組みに関する小間で、理屈まで理解しているかどうか試されました。(問題3)は水そうの中に入れた土とヤマトヌマエビの役割について考える問題で、例年出題される対照実験の仕組みの理解が鍵を握る問題でした。(問題4)は水に浮いた水草が育つ理由を考える問題で、写真をもとに考察をしていきます。
〔大問2〕は前年度に続き図形をテーマにした問題でした。全体的に頻出問題が多く、正解したい問題でした。(問題1)は白と黒2色のタイルを組み合わせた図形を考える問題で、指定された条件において図形が「作れない」ことを説明する問題でした。(問題2)は、白い正方形のタイルを5枚つなけた図形、いわゆるペントミノが何通りできるかを調べる問題です。(問題3)は、白と黒の小さな立方体を4x4x4の64 個積んで大きな立方体を作り、大きな立方体を切断した時に切られる黒い立方体の個数を数える問題でした。
文章1:東直子「生きていくための呪文」による
文章2:藤田 真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』
〈出題形式〉
4000字程度の文章が1題の形式で、読解問題2間、作文問題1間の例年と変わらないスタイルですが、前年度に比べて文章量は2倍近く増えました。また、ここ2年姿を消していた作文の条件指定が再登場しました。読解問題の字数は合計最大105字、作文の最大字数が460字となり、昨年よりは書く分量がやや減少した形です。テーマは「インターネット上で個人の好みに合った情報が自動的に選択される仕組み」についての説明と生命の子見不可能な存在であることを対比させて「人間は予見不可能な創造的 進化を遂げる」ものであることを述べています。SNSなどで同じ動画を見ても、それぞれの感じ方は個性によって異なるという筆者の考え方がとらえることができれば難しい内容ではありません。
(問題1)問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
短歌・俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりすることに、どのような効果があるのかを答える問題です。空欄を補充する形で答えるので「という効果」につながるような言葉を使っていきます。前年度・前々年度でも今回の問題のように字数が指定されていないものが出ています。また今回は、「文章1・文章2で挙げられている例を一つずつ探し、解答らんに合うように答えなさい」という指示があります。ポイントは各文章からそれぞれ一つずつ 例を探すということです。例ですので、抽象化されたものではなく具体例に注目します。そして「探す」ということなので、字数の指定などはないものの、ほとんど抜き出す形式に近いと言えます。まずは文章1・文章2のそれぞれから「短歌や俳句をくり返し唱えたり、思い浮かべたりする」という動作に該当する例を探していき、その動作によってもたらされる効果・影響が書かれている部分を、「という効果」につながる形に直して、書いていきます。抽象・具体を区別する必要があり、普段の演習時から、これらをしっかり区別して読解をおこなっているかどうかが、解く上でのポイントになっていました。
(問題2)文章2の傍線部に関連する二文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章2の傍線部について問われ、文章1から連続する二文を探して、最初と最後の4文字を答える問題です。これまでの共同作成問題で何度も出されてきた文章横断型の問題ではありますが、今までは傍線部がある文章から大まかな情報を整地して、もう一方の文章から探す答えの方向性を絞るという作業が求められました。しかし今回は、文章2から得られる傍線部に関する情報はほとんどなく、「文章1の筆者は、短歌を読んで どのような情景を想像しているでしょうか」という問いから考えていけばよい問題でした。文章1から短歌を読み、その内容から何を想像しているかということに注意して読んでいきます。冒頭の岡本かの子・与謝野晶子の短歌の後に、「桜の咲くころ~と浮かぶ。」という部分がありますが、連続する二文を情景として抜き出すことを考えると、その後の文が答えとして考えることは難しいです。次に大西民子の短歌の後にも、想像している情景として読み取れる部分があり、この「青い空」に関する記述を抜き出す必要がありました。文章2を踏まえるという過程があまり求められず、文章1から情報を探す際にも、ややわかりにくいものになっているので、この問題に時間をかけてしまうことがないように気を付けなければいけない問題でした。
(問題3)二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかの考えを述べる問題です。また文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方のいずれかにふれることが条件になっています。したがって、まずは短歌・俳句に対する考えを読み取ったうえで、自分にとって書きやすいほうを選択する必要があります。文章1は短歌や俳句を何度も唱えることで、自分の気持ちを前向きに変えることができるという内容であり、文章2は表面的な言葉だけを見るのではなく、日々生活を送っている人々の気持ちを想像して勉強していくうちに、すばらしい俳句が生まれるという内容です。言葉によって気持ちを前向きにできるという内容の文章1の方が、学校生活で仲間と関わるうえで使っていく言葉に関する考えは書きやすいと思われます。選んだ文章の内容にふれつつ、その内容に寄せた自分の考えとその根拠などを、学校生活で想定される例とともに書いていけばよいでしょう。近年の作文問題の字数は、400字以上440字以内の傾向が続いており、各段落に各内容についても詳細なものは指定されていません。つまり指定字数の中で、ある程度自分で構成を考えた上で書いていく近田が求められているのだと考えられます。また今後の学校生活を意識する内容も続いているので、中学校生活での例を挙げられるように、対策をしていく必要があるでしょう。
1⃣ デジタル数字を題材にした問題(共同作成問題)
1⃣は前年同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものとなっています。条件に合わせて考える力が必要でした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度となっています。
〔問題1〕条件に合う作業の分担方法を考える問題
マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、45分未満ですべての作業を終わらせます。作業する人によってかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。太郎さんはマグネットシート1枚当たり「かく」作業に10分、「切る」作業に5分かかり、花子さんは「かく」作業も「切る」作業もマグネットシート1枚当たり7分かかります。問題文の条件より、最初の作業は同時に始めないといけないため、最初の作業は二人とも「かく」作業になります。その後は、「かく」作業が太郎さんより速い花子さんはずっと「かく」作業を、「切る」作業が速い太郎さんはずっと「切る」作業を、という風に分担すれば45分未満で作業を終えることができます。ルールをきちんと把握していれば、記述する内容も単純なので、比較的得点しやすい問題でした。
〔問題2〕最短時間で操作を完了させる方法を考える問題
ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作(2秒)」「マグネットを取る操作(2秒)」「数字の書かれたポードを180度回す換作(3秒)」「2枚のボードを入れかえる操作(3秒)」を組み合わせて考えます。本間では456から987にする場合が問われています。回転と入れかえはそれぞれる秒かかってしまうものの、入れかえを行わずに456を987にすることを考えると、どうしても時間がかかってしまいます。したがって、できるだけ効率の良い手順で入れかえを行う必要があります。会議文で6を回転させると9になることが説明されているので、6を回転させて9にしてから4と入れかえ、4を7にすることを考えます。真ん中の5はマグネットを2本加えれば8にできます。しかしこれが「最短」の方法であることを確かめようと思うと時間がかかりますので、確実に得点するという観点で言うとやや離しい問題だったように思われます。
2⃣ 世界の森林面積をテーマにして、環境問題について考えさせる問題
〔問題1〕計算問題、計算で求めた数値をもとにグラフを作成する問題、複数の地域のうち一つの地域を選び、資料をふまえて森林面積の増減の理由について考えを書く問題が出題されました。計算問題の数は増えましたが、例年よりも桁数が少ないため、かかる時間は同程度という印象です。また、複数の候補から一つを「選び」、理由や特徴を述べる問題は小石川中において顔出ですが、最も変化が大きい地域のアフリカを選択すると解答しやすかったのではないでしょうか。ただし、アフリカは人口が急増している→生活するために農地を確保したり、資源を多く得たりする必要がある→そのために森林を伐採する→よって森林面積が減少している、というように、わかりやすく筋道立てて記述することができたかどうかがポイントです。
〔問題2〕「世界の森林面積を増加させるためにはどうしたらよいか、減少させないためにはどうしたらよいか」について、「世界の国々はどのような協力をすればよいと考えるか」、考えを151字以上210字以内で書く問題です。前々年度までは150字以内、前年度は180字以内、そして今年度は210字と、求められる記述の量が増えていますが、今年は小問数が減ったため、丁寧に取り組むべき問題です。資料6と資料からは、一人当たりの国民総所得が増える、つまり経済が発展するに伴い木材の結要も増えていることがわかります。また、主に、「柱や板などに加工された木材」や「紙の原料となるパルプやチップ」「合板」などの用途の割合が高いこともわかります。したがって、森林面積を少させないようにするためには、加工された木材や紙の生産量を抑えるとよい、と筋道立てることができます。そのためには、どのような「国際協力」が必要になるかを考えてみましょう。また「今までの問題、解答」も参考にするので、〔問題1〕(3)で仮にアフリカを選択した場合は、「食料や木材資源などを後かに得られる国がアフリカに対して支援を行うことで伐採量を減らせる」といった要素も必要になります。また、森林面積を増加させるためには、伐採量を渡らし植林などの活動をしていくことが考えられますが、これも「国同士がどのような協力をすればよいか」という視点で、書かなければなりません。近年は、大問2の最後の記述問題は敬遠される傾向がありました。あるいは時間がないためとりあえず「埋めてみた」だけといった内容も目立ちました。しかし、先述したように、今年度は問題数が減ったことと、1⃣(算数)と3⃣(理科)が取り組みやすい問題だったため、合否を分ける1問となる可能性が高いです。
3⃣ 摩擦に関する実験を題材とした問題(共同作成問題)
3⃣は、ここ3年は、小問2つにそれぞれ枝問が2つあり合計4問、という構成でした。しかし今年度は枝問が1つずつになり、合計2問構成となりました。実験の内容自体も比較的素直で読み取りやすいため、ここ数年では最も取り組みやすい難易度だったと言えます。題材としては、旅に関して調べる実験を行い、その結果を分析する問題でした。計算を必要とする問題はなくなり、読解力・考察力・記述力が試される構成となりました。どちらの問題も、内容理解はそれほど難しくないため、平均点は高くなると考えられます。しかし、満点解答を出すうえでは、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで解答する、答案作成力が必要な問題でした。
〔問題1〕素材の表面の状態の違いによる摩擦の大きさの違いを考える問題
ペットボトルのキャップにつけられたみぞの摩擦による効果を、モデル化して調べた実験についての問題です。実験の結果から、表面にみぞをつけることで、手でキャップを回すときにすべりにくくなると考えられる理由を説明する問題でした。ペットボトルのキャップを回すときのように、みぞの方向と力の方向が垂直なときには、動き出すのに必要なおもりの個数が多いことが、実験結果からわかります。 これが、ペットボトルのキャップを回すことを考えると、すべりにくいということに相当します。また、問題では「手でつかむ力が大きいときでも小さいときでも」とありますので、載せる金属の重さが 750g の場合と 1000gの場合の両方について記逃する必要があったと考えられます。このように、「手でつかむ力」を「のせる金属の重さ」に、「表面のみぞの方向が回す方向に対して垂直であるペットボトルのキャップ」を「糸に対して垂直にみぞをつけたプラスチックの板」に、「すべりにくさ」を「おもりの個数」に、それぞれモデル化した実験が行われていることを理解する必要がありました。
〔問題2〕斜面をすべり下りる物体の速さの違いを考える問題
会話文から、斜面をすべり下りる物体の速さについて、「物体が斜面に接する面積」、「物体の重さい、「斜面に接する物体の素材」の3つの観点が挙げられ、これらの条件によってすべり下りる速さがどう変わるかを調べる実験についての問題です。6通りの条件で斜面をすべり下りるのにかかる時間を調べた実験の一部が隠されており、その中から結果が同じであると予想できる組み合わせを選び、そう考えた理由を説明する問題でした。この設問に対しての実験は2つ行われていますが、両方を通して、複数の条件によって変わる実験結果を考察する必要があります。そのため、対照実験の考えを用いた実験結果の読み取りと客作成が必要な問題でした。「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件」については、そのことを意識して実験手順を読み取れば、「物体の重さ」であること自体は分かりやすいです。あとは、明らかになっている結果のうち、「斜面に接する物体の素材」が同じ場合には、すべり下りる時間も同じになっていることが分かれば、結果が同じになる組み合わせを選ぶことは、比較的やりやすかったと言えます。答案作成においても、「実験2では同じでなかった条件のうち実験3では同じにした条件は何であるかを示して」という指示を意識することが重要でした。
<出題形式>
小石川中の独自作成問題で、大問2題小問7問構成でした。前年度同様に、1⃣が理科分野、2⃣が算数分野からの出題でした。
1⃣ 音をテーマとした問題
物理分野からの出題でした。前年度は知識をもとに考える問題がやや多く出題されましたが、今年度は会話文や図をもとに考える問題が多く出題されました。
〔問題1〕人の声を直接聞いたときと電話で聞いたときの違いに関する問題
2人の声を直接聞いたときに聞き分けられる仕組みと、電話で声を聞いたときに人を認識し間違える理由を答える問題です。2人がそれぞれ直接声を出したものと、そのうちの1人が電話を通して声を出したものの3つの場合について、オシロスコープで見たときの形が図で示されています。3つの図の中から2つ選んで比較して記述をする必要があります。図の選び方は対照実験のような考え方で、直接聞いた声の違いを知りたい場合は、2人の異なる人がどちらも直接出した声をオシロスコープで見た図を比べる必要があります。直接聞いた声と竜話で聞いた声の違いを知りたい場合は、同じ人が直接出した声と電話で出した声をオシロスコープで見た図を比べる必要があります。会話文を元に考えることができ、記述としては書きやすい問題でした。
〔問題2〕アマガエルの鳴くタイミングに関する問題
3匹のアマガエルが2秒間に鳴く様子を観熱したとき、他のアマガエルと重ならないように鳴いていることが示され、(1)ではその理由を、(2)では鳴くタイミングをどのように判断しているのかを答える問題でした。特に(1)は会話文に書かれている内容が鍵になり、正解しておくべき問題です。(2)は明確なヒントが無く、難度の高い問題でした。(3)では鳴いたアマガエルの位置を把握するためにどのような工夫をしたらよいかを説明する問題でした。例年、実験方法を説明し、それに対する予想される結果を進べる問題が出題されていましたが、今年度は調査方法を説明する問題でした。(3)も(2)同様、明確なヒントが無く、難度の高い問題でした。
〔問題3〕アマガエルの鳴き方に関する問題
長い間隔で複数のアマガエルが鳴く様子を記録した図から分かることを答える問題です。会話文では、記録した図から常に鳴き続けているわけではないことが分かると書かれており、それ以外に分かることを答えます。〔問題2〕で使用した図は2秒間鳴き声を記録した図ですが、〔間題3]で使用する図は900秒の長い時間で鳴き声を記録した図です。2秒間のときと900秒間のときでは異なる特徴があると読み取ることができ、短い時間で観察すると声が重ならないように鳴いていることが分かりますが、長い時間で観察するとほぼ同時に鳴いていると、対比の考え方でも読み取ることができます。
〔問題4〕身のまわりのものについて答える問題
オン・オフが自動で切り替わるものを一つ例に挙げ、オン・オフが切りかわる目的を答える問題でした。身のまわりのものについて答える問題は令和3年度までの小石川中で顔出の問題でした。
2⃣ 条件に合うようにグループ分けを行う問題
組み合わせをテーマにした問題でした。条件をもとに書き出して調べる問題が多く、確実に正解したい問題が多く出題されました。
〔問題1〕プレゼント交換に関する問題
5人ずつで組まれた2つのグループの計10人が、それぞれのグループ内でプレゼント交換をします。10人それぞれのほしいプレゼントがいくつか示されていて、なるべく全員がほしいプレゼントをもらえるようにするときの組み合わせを考えます。片方のグループでは全員がほしいプレゼントがもらえるような組み合わせが決まり、(1)ではその組み合わせを答える問題です。もう一方のグループでは欲しいプレゼントをもらえないメンバーがいて、(2)ではその理由を答える問題です。適性検査で頻出の、条件のきついものから考えるという考え方を使うと答えやすい問題であり、必答問題でした。
〔問題2〕条件をもとにペアをつくる問題
2つのグループ、グループ1とグループ2のメンバーとでペアをつくる組み合わせを考える問題です。ペアの決め方が順を追って会話文と図に書かれているので、丁寧に照らし合わせて理解をする必要があります。(問題1)と同様に、条件のきついものから考える力が決められますが、他の問題と比べて時間を要し、やや難しい問題といえます。
〔問題3〕条件に従い書き出して調べる問題
10人のメンパーと実行委員の2人の合計12人が互いの手をタッチし、それぞれがタッチした人数が指定した通りにできるかを考える問題です。問題では、実行委員のうちの1人を除く11人がタッチした人数が全員違うようにするときの、もう1人の実行委員がタッチする人数を求める問題です。条件に(問題2)で決まったペアをのぞいた10人が互いの手をタッチすることがあり、タッチする人数が 0人の場合と10人の場合が会話文で記されています。例をもとにして条件に従い丁寧に書き出して調べることで答えを求めることができます。類題を経験している受検生が多かったのではないでしょうか。
例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。
読解問題では2019年度以降続いて出題されていた文章横断型の問題(傍線が引いてある文章とは異なる文章から解者を書いたり探したりする問題)は出題されませんでした。
作文問題は前年度と同様、各段落に書くべき内容は指定されず、自分で適切に段落分けをする問題でした。
(問題1)は傍線部分の理由を本文中から抜き出す問題です。傍線部問辺の情報を丁寧に読み取ることが求められましたが、難度自体は高くはなく、必ず正解しておきたい問題でした。(問題2)は、「行間を読む」ことについて、本を読むことにおいては何をどうすることか、「真実」「事実」という語を用いて説明する問題です。一見簡単そうに見えますが、端的にまとまっている一文があるわけではなく、複数所の情報をまとめる必要があるため、点数の分かれる問題でした。(問題3) は、二つの文事から読み取った「共通していると思う考え方」をまとめ、それをはっきり示したうえで、これからの学校生活でどのように学んでいくつもりか、関連させて作文を書くことが求められています。これまでの年度の問題と比べて、二つの文章ともに抽象度が高いこと、双方の文章ともに筆者の主張が一文でまとめられる類の文章ではないこと、共通点が明示されていないこと、などの理由から、二文の「共通していると思う考え方」をまとめる作業は難しかったはずです。日ごろから、文章全体の大意を読み取る力を養うことが肝要です。
例年通り〔大問2〕は独自作成問題、〔大問1〕・〔大問3〕は共同作成問題です。
図は電子書籍をテーマとした問題でした。(問題1)は計質問題、グラフ作成問題、作成したグラフの変化の様子を読み取る問題でした。(問題2)は、電子出版のなかでもコミックの販売額が増えている理由の考察と、その考えが正しいかどうかを確かめる方法を説明する問題、紙の「事典・辞書」の販売用数が減っている理由について会話文や資料をもとに考えを書く問題、(問題3)は紙を使った出版と電子出版をどのように使い分けることが将来の出版にとってよいと考えるか、具体的な方法を 151字以上180字以内で説明する問題でした。最後の問題の学数が増えたものの、問題数や形式ともに大きな変化はなく例年通りの出題だったと言えるでしょう。やや易化した前年度の問題より難度が上がりました。
〔大問1〕は観察池やアクアリウムで生きる動植物をテーマとした生物分野からの出題でした。近年は物理分野・化学分野からの出題ばかりだったため、おどろいた受検生もいたと思います。(問題1)は小学校の観察池で生物が生き続けるのに必要な環境を考えて説明する問題です。(問題2)は光合成の仕組みに関する小間で、理屈まで理解しているかどうか試されました。(問題3)は水そうの中に入れた土とヤマトヌマエビの役割について考える問題で、例年出題される対照実験の仕組みの理解が鍵を握る問題でした。(問題4)は水に浮いた水草が育つ理由を考える問題で、写真をもとに考察をしていきます。
〔大問2〕は前年度に続き図形をテーマにした問題でした。全体的に頻出問題が多く、正解したい問題でした。(問題1)は白と黒2色のタイルを組み合わせた図形を考える問題で、指定された条件において図形が「作れない」ことを説明する問題でした。(問題2)は、白い正方形のタイルを5枚つなけた図形、いわゆるペントミノが何通りできるかを調べる問題です。(問題3)は、白と黒の小さな立方体を4x4x4の64 個積んで大きな立方体を作り、大きな立方体を切断した時に切られる黒い立方体の個数を数える問題でした。